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2021年01月20日 10時22分

車にはねられた女児「大丈夫です」→1万円渡して立ち去る…これも「ひき逃げ」なの?

車にはねられた女児「大丈夫です」→1万円渡して立ち去る…これも「ひき逃げ」なの?
画像はイメージです(yamasan / PIXTA)

交通事故ではねた相手が「大丈夫」と返答したことを受け、現場から立ち去った男性が、自動車運転処罰法違反(過失傷害)と道交法違反(ひき逃げ)の疑いで、千葉県警に逮捕された。

千葉日報などによると、男性は12月31日、軽自動車を運転中、小学生の女児(10)をはねて、左手に軽傷を負わせた。事故直後に男性が「大丈夫?」と声をかけたところ、女児は「大丈夫です」と返答した。男性は女児に1万円を手渡して、警察に通報することなく現場を立ち去った。

男性が立ち去った後、女児から連絡を受けた母親が110番通報し、千葉県警が男性を特定し、逮捕に至ったようだ。男性は容疑を認めたという。

被害者に声をかけ「大丈夫」と言われて立ち去った場合でも、「ひき逃げ」になってしまうのだろうか。また、ドライバーはどう対応すべきだったのか。星野学弁護士に聞いた。

●たとえ軽傷でも警察に報告しなければならない

——被害者本人が「大丈夫」と言っていたようですが、それでもひき逃げになるのでしょうか。

「ひき逃げ」というと、何か積極的に被害者を無視するなどして、事故現場から逃走する様子をイメージしてしまいます。

しかし、交通事故を起こしたドライバーには、負傷者を救護する義務(救護義務)とともに、交通事故の発生を警察官らに報告する義務(報告義務)が課されています(道路交通法72条)。

それらの義務を果たさず事故現場から立ち去っただけで、救護義務違反・報告義務違反(「ひき逃げ」をした)として刑事処罰の対象となってしまうのです。ケガが軽ければ罰金程度でしょうが、重ければ懲役刑もありえます。

——今回の事故のように軽傷でも警察に報告しないといけないのでしょうか。

道交法は、救護義務・報告義務を課す場合の「交通事故」について、「車両等の交通による人の死傷若しくは物の損壊」と定めていますが(67条2項)、被害の程度は問題にされません。

したがって、被害者がまったくケガをしていないことが明らかなような場合でもなければ、たとえケガが軽微だとしても、被害者が自力で歩行できたとしても、運転者は救護義務・報告義務を果たさなければなりません。

●交通事故のケガ、症状が遅れて出ることも…「警察官の指示に従って」

——ドライバーはどう対応すべきだったのでしょうか。

たとえ被害者が事故直後に「大丈夫」と答えたとしても、その言葉を鵜呑みにせず、被害者の状態を注意深く確認する必要があります。

報道によると、今回は手の軽傷で済んでいるようですが、交通事故の場合、その衝撃などで目に見えないところで思わぬケガを負っていることや、事故発生直後には症状が出なくてもその後に症状が出ることもあります。

きちんと警察に事故発生の報告し、到着した警察官の指示に従うべきだったといえるでしょう。

——男性は女児に1万円を渡したと報じられていますが、これはどのような意味があるのでしょうか。

女児に1万円を渡した行為は、男性としては、おそらくケガが軽傷だったことから治療費相当のお金を渡すことで、大きな問題となることを避ける目的だったのでしょう。

しかし、法的にはあまり意味がない行為と評価せざるを得ません。

たとえ治療費名目で女児にお金を渡したからといって、救護義務・報告義務を果たしたとはいえません。また、相手は未成年者なので法的合意をする能力がないため、お金を受け取ったことを「示談」と評価することもできません。

せいぜい、(1)損害賠償金の一部を内払いした、あるいは(2)損害賠償金とは別にお見舞い・贖罪金を支払ったという評価がされる程度でしょう。

ただし、犯罪の成否およびその重さを決める刑事手続きでは、相手が子どもだったので「口止め料」を渡して自分の犯罪が発覚することをまぬがれようとしたとマイナスの評価をされる可能性のほうが大きいと思います。

——お金を渡した本人にとってかえってマイナスになるリスクがあるのですね。

最近は、たとえ事故を起こしたとしても、ドライブレコーダーの映像などから子どもの飛び出しが認められて処罰されないというケースも少なくありません。

そのため、警察に事故発生の事実等をきちんと申告していれば何の処罰もなかったはずなのに、その場から立ち去ったために救護義務違反・報告義務違反として処罰されるという結果が生じてしまいます。

やはり、ドライバーとしては、事故が起きた場合には、原則どおり相手方にケガがないかを確認し、警察に報告するための行動を取るべきだったでしょう。

取材協力弁護士

星野 学弁護士
茨城県弁護士会所属。交通事故と刑事弁護を専門的に取り扱う。弁護士登録直後から1年間に50件以上の刑事弁護活動を行い、事務所全体で今まで取り扱った刑事事件はすでに1000件を超えている。行政機関の各種委員も歴任。

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