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社長の母の「連帯保証人」をやめたい…パワハラで退職、さらなる悩み
画像はイメージです。(xiangtao / PIXTA)

社長の母の「連帯保証人」をやめたい…パワハラで退職、さらなる悩み

連帯保証人をやめたいーー。そんな切実な相談が、弁護士ドットコムに多数、寄せられています。

ある男性は、ブラック企業に勤務していた頃、社長の母親の住まい(賃貸物件)の連帯保証人になりました。その後、「パワハラ被害にあい、逃げるように退職」したものの、つい先日、滞納の通知がきたそうです。

退職の経緯からも「連絡を取り、と交渉することは絶対にできない」「完全に断ち切りたい」といいます。

そもそも連帯保証人をやめることはできるのでしょうか。富永洋一弁護士に聞きました。

●途中でやめるのは、難しいのが現状

ーー「連帯保証人をやめたい」という相談が寄せられました。

連帯保証契約も「契約」である以上、契約としての拘束力があります。ですので、単に「やめたい」という理由だけで、連帯保証人から一方的に連帯保証をやめる(契約解除する)ことはできません。

連帯保証契約をやめる(解約する)ことを家主側と合意することで「合意解約」をすることも考えられますが、別の連帯保証人を用意するなどしなければ、家主側がこれに応じてくれることはほとんどないでしょう。

家主側が、家賃滞納を理由に賃貸借契約を解除したとしても、それまでの滞納家賃などについては連帯保証の対象となってしまいます。

仮に、賃貸借契約書に、例えば「契約期間2年間」などとされている場合でも、「更新後は保証人の責任を免れる」などと契約書に明記されていない限り、更新後に生じた債務についても保証人は責任を負うことになります。

このように、家賃の連帯保証人については、保証人をやめることはなかなか難しいのが現状です。

●2020年、改正民法が施行されると

ーー東京オリンピックの年、2020年4月1日から改正民法が施行されます。連帯保証人について変更点はあるのでしょうか。

改正民法によれば、極度額(上限額)の定めのない個人による根保証契約は「無効」(=効力がない)となります。

賃貸借の保証は、保証すべき賃料債務が際限なく増える点で「根保証」契約となりますので、2020年4月1日以降の契約であれば、保証の上限額(極度額)が明記されていない契約書の連帯保証人となっても、保証契約自体が無効となり、そもそも連帯保証債務を負わないことになりそうです。

また、2020年3月までの契約であっても、契約期間がいったん切れて、2020年4月1日以降に「合意更新」がなされた場合にも、同様に改正民法が適用されて、保証の上限額(極度額)の定めのない連帯保証契約は、そもそも無効となる可能性があります。

今後の裁判例や実務の運用などに注目したいところです。

(弁護士ドットコムニュース)

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

プロフィール

富永 洋一
富永 洋一(とみなが よういち)弁護士 ありあけ法律事務所
東京大学法学部卒業。平成15年に弁護士登録。所属事務所は佐賀市にあり、弁護士1名で構成。交通事故、離婚問題、債務整理、相続、労働事件、消費者問題等を取り扱っている。

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