9月28日は「世界狂犬病デー」。狂犬病が人や動物に及ぼす影響や、その予防法について広く知ってもらうために設けられたものだ。
厚生労働省によると、2006年に世界の研究者らがNGO「Global Alliance for Rabies Control」を結成し、その活動の一環として世界狂犬病デーの取り組みが始まった。
9月28日は、狂犬病ワクチンを開発したフランスの細菌学者ルイ・パスツールの命日にあたる。
日本では長年、国内での狂犬病感染は確認されていない。しかし、犬を飼っている人には、法律で登録や毎年1回の予防注射などが義務づけられている。
●発症すれば「ほぼ100%死亡」の恐ろしさ
狂犬病は、狂犬病ウイルスによる感染症だ。人は主に、感染した犬などにかまれ、唾液に含まれるウイルスが体内に入ることで感染する。
特に恐ろしいのは、いったん発症すると有効な治療法がなく、ほぼ100%死亡することだ。
厚労省によると、日本では、人が国内で感染したケースは1956年を最後に確認されていない。動物についても1957年の猫を最後に国内での発生はない。
ただし、海外で犬にかまれ、帰国・入国後に発症して死亡した「輸入感染症例」はある。1970年に1人、2006年に2人、2020年に1人が確認されている。
●登録は生涯1回、予防注射は「毎年1回」
こうした狂犬病の発生やまん延を防ぐため、狂犬病予防法は犬の飼い主にさまざまな義務を課している。
まず、犬を取得した日から30日以内に市区町村への登録が必要だ。生後90日以内の犬を取得した場合は、生後90日を経過した日から30日以内となる。登録は原則として生涯に1回だ。
また、犬が死亡した場合や、犬の所在地、所有者などに変更があった場合にも、30日以内に届け出る必要がある。
さらに、生後91日以上の犬には、毎年1回、狂犬病の予防注射を受けさせなければならない。
登録時に交付される「鑑札」と、予防注射後に交付される「注射済票」は、犬に着けておく必要がある。
なお、マイクロチップを装着している犬については、住んでいる市区町村が特例制度に参加しているなど一定の条件を満たせば、マイクロチップが鑑札とみなされる制度もある。
●注射を受けさせないと「20万円以下の罰金」も
「日本では狂犬病が発生していないから、ワクチンを打たなくても大丈夫」というわけではない。
狂犬病予防法では、犬の登録をしなかったり、予防注射を受けさせなかったりした場合などについて、「20万円以下の罰金」と定めている。
さらに、未登録だったり、予防注射を受けていなかったりする犬などは、同法6条に基づく捕獲・抑留の対象にもなる。
国内で狂犬病が長年発生していない状況を維持するためにも、登録や予防注射は重要な役割を担っている。
世界狂犬病デーを機に、愛犬に必要な手続きが済んでいるか、あらためて確認しておきたい。