三重県・津地裁の竹内浩史判事が4月15日、裁判官の報酬をめぐり、憲法に違反する取り扱いがなされているなどとして、本来支払われるべき給与との差額などを求めて、国賠訴訟を起こす予定だと自身のブログで発表した。現役裁判官が国を訴えるのは異例。
竹内判事は、1987年に弁護士登録し、2003年に弁護士任官として裁判官になった。2021年4月から津地裁で民事部の部総括判事(≒部長)を務めている。法曹界では、ネットで実名ブログを運営する数少ない裁判官の一人として有名だ。
日弁連の説明資料によると、弁護士が途中から裁判官になった場合でも、給与額は原則として司法修習同期と同額になるという。
日弁連「弁護士任官Q&A」(2020年10月版)より
しかし、竹内判事のブログによると、公表データなどから自身より司法修習期(39期)が若いのに、号俸が上の裁判官が多数いると考えられるといい、「昇級昇格差別の不法行為が行われていることは明白」としている。
竹内判事によると、人事評価書で特段問題を指摘されたことはないそうだが、2014年に昇級して以来、給与は据え置きだという。
一方、裁判官(国家公務員)の地域手当は20%を最大として傾斜がつけられている。前任地の大阪高裁(16%)、名古屋高裁(15%)から津地裁(6%)に赴任したことで、地域手当が年々減額され、過去3年間で計約240万円の差が生まれたという。
地域手当の「著しい格差」が事実上の減俸になっているとして、下級裁判所の裁判官の報酬は「減額することができない」とする憲法80条2項に反するとしている。