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能登地震、生活再建の流れが「一目でわかる“瓦版”」 作成した弁護士、活用呼びかけ
石川県輪島市の家屋(ロイター/アフロ)

能登地震、生活再建の流れが「一目でわかる“瓦版”」 作成した弁護士、活用呼びかけ

1月1日に発生した能登半島地震は、北陸地方を中心に甚大な被害をもたらした。余震もある中、現地では多くの人が不安を抱え過ごしている。

被災直後で、生活を再建しようにも何から始めればわからない状況かもしれない。しかし、生活費や住まいを絶対に欠かすことはできない。

そこで、長年災害対策や被災者支援に関わってきた弁護士が作成した「何から始めればいいか」が一目でわかる支援情報を載せた“瓦版”を紹介する。被災者だけでなく、その親族や支援者などにも知ってもらいたい知識がわかりやすくまとまっている。

●「少しでも不安軽減につながれば」

「能登半島地震 支援情報 瓦版」では、生活再建までの流れをわかりやすい一例で示したり、罹災証明書などの法的支援制度について簡潔に説明されている。瓦版を発行しているのは、被災者支援をライフワークとしている永野海弁護士だ。

1月3日に瓦版の初版を公開した際、永野弁護士はX(旧ツイッター)で以下の呼びかけをおこなった。

「こんな情報は早すぎるとの声も承知しています。支援制度の大半は未公表です。石川県はボランティアも余震により募集前です。ただ、過去の被災地では早い段階での情報を希望される方が多数いました。少しでも、一部でも不安軽減につながればと願います」

災害直後は命を守る行動が最重要だが、その後に直面する生活再建の悩みも精神的負担が大きい。支援制度があることを知ること、同時に正しく利用することは不安軽減につながりうる。

瓦版に記載されている「再建までの流れ(例)」の一部をここで紹介する。

(1)自宅などの被害状況を「写真・動画を撮影」して記録・・・安全優先無理をせず
(2)ご加入の「火災保険・共済」に連絡・・・不明なら自然災害等損保契約照会センター等に連絡を
(3)「罹災証明書」を役場に申請する・・・支援制度の出発点!
(4)自宅の片づけ等「ボランティアセンター」に相談
(5)罹災証明書を入手したら「支援制度の検討」開始

支援制度や生活再建の流れをコンパクトにまとめている(永野海弁護士作成・提供) 支援制度や生活再建の流れをコンパクトにまとめている(永野海弁護士作成・提供)

「能登半島地震 支援情報 瓦版」(PDF版)は、永野弁護士のホームページで無料ダウンロードすることができる。
http://naganokai.com/wp-content/uploads/2024/01/noto6kawaraban.pdf

また、同ホームページでは、瓦版のほかにも、大規模な自然災害のときに使える可能性がある特に大切な支援制度をカードにまとめた「被災者支援カード」、災害時の支援制度を困りごとの種類別でまとめた「被災者支援チェックリスト」など被災者支援情報も紹介している。
http://naganokai.com/hisapo/

画像タイトル 被災者支援カード(永野海弁護士作成・提供)

●「必ず生活再建はできる」

永野弁護士は、罹災証明書について、「今回の地震は極めて大規模な災害。被害の大きな自治体ほど受付準備、被害調査、交付すべてに時間がかかる」ものの、「被害が大きかった地域の方でも、必ず交付は受けられます」と話す。

「気持ちがはやるのも当然ですが、どうか『早くしなければ!』と思い込みすぎないで下さい。いち早く申請しても、すぐに調査や交付が受けられるわけでもありません。また、この災害の規模に照らせば、罹災証明書をもらったあと即座に支援が開始されるかも現時点では不明瞭です。

一方で、津波被災地域や倒壊多数の地域の全壊家屋については、申請を待たず、自治体が職権で調査し、罹災証明書を発行してくれることもあります。とにかく、被害が大きかった地域の方でも、必ず交付は受けられますので焦らず、不安にならないで下さい」

「災害の規模が大きいために、被災された方への支援が圧倒的に不足し、厳冬期に、極めて過酷な避難生活を強いられていることは日本中のみんなが知っています。家族や周りの人々の助け合いで、まずはいのちと心が安全に守られることを心から願っています。

これまでのどんな大きな災害でも、時間とともに、必ず支援はやってきます。日本中、世界中から義援金も集まります。

いのちと健康があれば必ず生活再建はできますので、どうか不安になりすぎないで下さい。心に少し余裕ができるタイミングがあれば、公表した『支援情報の瓦版』を流し読みでよいのでご覧いただき、再建までの流れや支援制度のイメージをつかんでいただければ幸いです」

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