「特定秘密保護法は憲法違反だ」。このように主張するフリージャーナリストら43人が違憲確認などを求めて起こした訴訟の第1回口頭弁論が6月25日、東京地裁で開かれた。原告30人が出席し、意見陳述がおこなわれた。
特定秘密保護法によって「表現の自由」などが侵害される懸念を抱いたフリージャーナリストたちは3月、国を相手取って提訴した。訴状によると、原告側は、昨年12月に成立した特定秘密保護法について、(1)憲法違反であることの確認(2)施行差し止め(3)原告1人あたり10万円の国家賠償を求めている。
この日の口頭弁論では、意見陳述のほかに、安倍晋三首相や谷垣禎一法相、渡邉恒雄・情報保全諮問会議座長など、この法律と関係がある政治家やメディア関係者の証人申請もおこなわれた。
●「飲酒歴や精神状態も調べられてしまう」
原告側は口頭弁論終了後、東京・霞が関の弁護士会館で報告集会を開いた。原告の1人であるジャーナリストの安田浩一氏は、特定秘密保護法に記された「適正評価」の仕組みを批判した。
適性評価とは、特定秘密保護法の対象となる人について、「秘密」をとりあつかうのが適正か否かを判断するものだ。対象は、国家公務員や地方公務員だけではなく、防衛関連産業など民間企業の従業員も含まれる。
安田氏は、「当該人物だけではなく、その同居者つまり家族や友人にも調査が及ぶ。また、従業員を調査する場合には、上司や関係者から情報を収集することも可能だ。
借金があるか、飲酒歴はどうなのか、どんな健康状態か、仕事は何をしているか、どんな政治的活動をしているのか、親族の国籍はどこなのかを調べられてしまう。明らかに、社会に差別と分断を持ち込むものだ」と警鐘を鳴らした。
そのうえで、「秘密保護法は、右だろうが、左だろうが、真ん中だろうが、誰も幸せにしない」と強調し、幅広い立場の人たちとの「共闘」を訴えていた。