「うちの子の悪口をSNSに書いているママ友がいる」。小学生の保護者から、このような相談が弁護士ドットコムに寄せられている。
相談者によると、発端は子ども同士のケンカだった。相手の母親が「(相談者の)子どもにいじめられた」「親もバカでクソ」などと一方的に書き込んでいるという。コメント欄には親子を罵倒する発言もあり、ほかのママ友は一目で相談者に対する悪口だとわかったとのことだ。
投稿は誰でも見られるため、親子は恐怖を感じているという。このような行為は、侮辱罪にあたるのだろうか。清水俊弁護士に聞いた。
●侮辱されている人が特定できれば、犯罪が成立する可能性も
ーー子どもやその親の悪口を書き込む行為は侮辱罪にあたるのでしょうか。
侮辱罪とは、公然と人を侮辱することをいいます。名誉毀損罪とは異なり、事実の摘示が要件ではないため、「バカ」や「ブス」などの抽象的な言葉でも成立します。今回のケースのように、他人の子どもやその親の悪口をSNSに書き込む行為も侮辱罪が成立しえます。
「公然」とは「不特定または多数の人が認識できる状態」をいいます。一部の人のみに開示していたり、鍵アカウントだったりする場合でも、限定されたメンバーから不特定多数の人に知れ渡る可能性があれば「公然」性を満たすといえるでしょう。
本名が伏せられている、仮名で書かれているなど、侮辱されている人が誰か客観的にわからない場合や特定できない場合は、基本的には罪にはならないでしょう。
ただし、関係者など見る人が見れば特定されてしまう情報が書かれている場合には犯罪が成立します。今回のケースでは、ほかのママ友が投稿を見て相談者親子だとわかったようなので、侮辱罪が成立する可能性があります。
刑罰は、「1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」となります。これまでの法定刑は「拘留又は科料」でしたが、ネット上での誹謗中傷が社会問題化したことを契機に、2022年6月に引き上げられました。
ーー民事上の責任を問うことはできますか。
不法行為(民法709条)が成立する可能性があります。その場合、相手方には、侮辱行為で被った精神的苦痛に対する慰謝料などの損害を賠償すべき義務が発生します。