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キャンプ場や山道に出没する「迷惑ナンパ男」、性被害おそれ「避妊具」携帯する女性も
写真はイメージです(zak / PIXTA)

キャンプ場や山道に出没する「迷惑ナンパ男」、性被害おそれ「避妊具」携帯する女性も

夏本番となり、レジャーシーズンを迎えている。しかし、日常を忘れて思いっきり楽しみたいのにもかかわらず、ソロキャンプや登山などでつきまといや強引なナンパをされ、怖い思いをしたという女性は少なくない。

これまでSNS上では、ソロキャンプをして性被害に遭ってしまったという女性の投稿や、男性からしつこくナンパされ、断ったら脅されたといった女性の投稿が話題になってきた。

弁護士ドットコムニュース編集部にもそうした被害に遭ったという女性や、女性がつきまとわれているのを目撃したという男性の声が寄せられている。

しつこいナンパやつきまといは、軽犯罪法などに触れる可能性がある。安心、安全にアウトドアのレジャーを楽しむためには、どのようなことが求められているのだろうか。

●「ナンパ」を無視した腹いせに食料を盗まれた

「1人で登山をしていたら、50代ぐらいの男性に声をかけられました。どこに住んでいるのか、彼氏はいるのかなど、プライベートなことを聞かれて…」

そう話すのは、当時30代だった女性Aさん。5年前に鳥取県内の山道で、男性につきまとわれたという。Aさんは「逃げたい」と思ったが、急な上り坂が続いて、男性を引き離すことはできず、仕方なく適当に返事をしてやり過ごした。

やっと下り道になったため、Aさんは早足で進み、男性と距離をとることができた。「逃げなくてもいいじゃない〜」という声が背中から聞こえたが、振り返ることはできなかったという。

その後、テント場に宿泊する予定だったAさん。近くのトイレから戻ってきたとき、驚きの光景を目にした。柱に自転車用の鍵でくくりつけていたAさんのリュックのあたりで、さっきの男性が何かゴソゴソとしていたのだ。怖くなり、その場を離れたAさんだったが、あとで確認すると、リュックから食料が盗まれていた。

「夕食用のチーズや羊羹など高カロリーなものが盗まれていて、絶望的な気分になりました。無視した腹いせにやられたんだと思います。登山中の水と食料は命に関わるものです。2泊の予定でしたが、1泊で切り上げなければなりませんでした」

以降、Aさんは男性に声をかけられても、プライドを傷つける断り方はやめるようにしたという。

「わざと男性と電話するふりをしたり、声をかけてきた男性を逆に宗教や自己啓発セミナーに勧誘するふりをしたりしています。最近では、FX投資話をするのが一番効果的です。とにかく、面倒臭そうだなと思ってもらえるように話しています」

Aさんは登山中にナンパしてくる男性が増えていると指摘する。

「登山ブームもありますが、山だと誰にでも挨拶できるので、ハードルが下がっている気がします。女性が1人で山登りするのは危険だと思います。でも、やっぱり1人で登りたいという気持ちもある。最悪の事態を想定して、私は避妊具やモーニングアフターピルも持って登山しています」

●対等な旅人として扱ってくれた人には感謝

Aさんが指摘するように、山では「こんにちは」「お先に」と挨拶するのがマナーとされている。一部の悪質な男性のふるまいのせいで、「ナンパと誤解されたくない」という男性もいるだろう。一方で、男性から声をかけられても「嫌な思いをしなかった」という女性の話を紹介する。

会社員のBさん(30代)は10年前、北海道・函館山に女性の友人2人と登山していた際、後ろからやってきた40代くらいの男性に声をかけられたという。お互いに挨拶したあと、男性はBさんたちのペースに合わせて登った。

「男性は北海道一周をしている最中だったそうで、若い私たちには珍しい経験をお持ちのように見えて、お話しながら頂上までご一緒することにしました」

頂上に到着したあとは、一緒に記念撮影をしてそのまま別れたという。

「声かけされても嫌ではなかったのは、男性が私たちのプライベートを聞いてきたり、連絡先の交換を要求してこなかったからだと思います。態度も偉そうだったり、威圧的だったりすることはなく、勝手な自分語りをしたりもしませんでした。私たちを対等な旅人として扱ってくれていたように思います」

Bさんは最近みかけるトラブルについて、こう話す。

「どうにも男性側が女性側を下に見ているがゆえにトラブルになっているように見受けられます。無料のキャバ嬢みたいに扱ったり、聞かれてもないのに教えたがったり、連絡先を教えないと逆上したり…。

私たちのケースはたまたま良い人だっただけで、圧倒的多数の人は怖い思いをしているのだろうなと思います。男性も女性も安心して、一期一会の交流ができる世の中になることを祈っています」

●テントに無理やり入ろうとする男たち

「キャンプがブームになり、マナーが悪い変なキャンパーが増えました」

そう話すのは、キャンプ歴10年以上という男性、Cさん(40代)だ。家族やソロでキャンプを楽しんできたが、最近はナンパ目的の男性がキャンプ場に出没しているのを見かけるという。

4年ほど前、Cさんは家族とキャンプ場を訪れていたとき、ソロキャンプをしている20代くらいの女性と隣り合わせになった。

「キャンプ場では、隣にテントを張った人などに挨拶をしますが、それに乗じて、もう少しこういう張り方をしたほうがいいといって、女性に声をかけてきた男たちがいました。女性は嫌な顔をしていたので、見守っていました」

男性たちは3人ほどのグループで、50代くらいにみえたという。

「そのうち、『中を見せて』と言って、無理やり女性のテントに入ろうとしたので、声をかけてやめさせました。女性がお風呂に入るときは、男たちがテントにいたずらしたり、入り込んだりしないように、自分たち家族で女性のテントを見張りました」

Cさんによると、近年は明らかにナンパ目的で訪れている若い男性のグループも見かけるという。彼らは、お酒を飲み、どんちゃん騒ぎをしたり、女性にしつこく声かけをする。普通のキャンパーの服装ではなく、街中を歩くような軽装のため、目立つのだ。

安全にキャンプを楽しむためには、どうしたらよいのだろうか。Cさんはこうアドバイスする。

「女性が1人でキャンプするのは本当に危険です。無料で治安の悪いキャンプ場には泊まらず、管理人が常駐しているキャンプ場を選んだり、カップルや家族連れのテントの近くにいるのが安全だと思います。本来、ソロキャンプは自然の中で、1人で静かに楽しむためのものですが、今は難しいですね」

冒頭で紹介したAさんも、登山中に困っている若い女性を見てきた。

「男性の登山客にしつこく声をかけられて足がすくんでしまい、動けない子もいました。私のテントに真っ青な顔で逃げ込み、助けを求めてきた子もいます。お酒が入った男性が、無理やり女の子に飲ませようとしているのも見たことがあります。そういう場合は、私が声をかけて保護してきました」

女性側が自衛策を取ることも大事だが、声をかける側も度を過ぎると法的な問題になることがあるので、要注意だ。マナーやモラル、そして法律を守って、アウトドアのレジャーを楽しみたい。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

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