ラーメン二郎相模大野店のツイッターアカウントが6月7日、警察から向かいのマンション住人から苦情がきたと投稿して、物議をかもしている。
投稿によると、同店の利用客とみられる人物がマンションの敷地内に入ったことが原因で苦情がきたという。ツイートでは、私有地であり絶対に入らないよう注意喚起する一方、「昨日は雨降りだったので致し方ないのかなとは思うところもございますが」ともつづっていた。
雨に濡れるのを避ける目的なら仕方ないと言っているようにもとれる今回の投稿に対して、ネット上では「雨降ったら二郎で雨宿りしましょう」「責任持ってお客様整理しろよ」といった批判が殺到したほか、「立派な犯罪やぞ」との指摘もあった。
雨宿りするために他人の敷地に入った場合、犯罪になることはあるのだろうか。西口竜司弁護士に聞いた。
●雨宿り目的は「正当な理由に当たらない」
——もし雨宿り目的で他人の敷地に入った場合、何か犯罪になるのでしょうか。
ラーメン二郎さん、安定のうまさ、満足感ですね。お店の名前を見て二郎系に行きたいなと思い、ついネットサーフィンしてしまいました。
さて、今回のケースについてですが、正当な理由がないのに建造物に侵入した場合、建造物侵入罪(刑法130条)が成立することになります。「正当な理由がないのに」というのは「違法に」という意味です。
たとえば、警察官が令状をもって敷地に侵入する場合には正当な理由が認められます。今回のような雨宿り目的では、原則として、正当な理由が認められないことになるでしょう。
「建造物」とは、屋蓋があり壁や柱で支えられて土地に定着し、人の起居出入りに適した構造をもった工作物のうち、住居・邸宅以外を指すとされています。たとえば、学校の校舎、工場等になります。
「建造物」にはその周囲にある囲繞地(いにょうち)も含まれるとされています。また、最高裁判例(平成21年7月13日決定)によると、柵や塀も「建造物」の一部を構成することがあるとされています。
今回のケースでは、マンションのどの部分に入ったか不明ですが、マンションの共用部分(廊下、エントランス等)や塀を超えたような場合、「建造物」に侵入したということになります。マンションの構造次第によるところもあり、非常に微妙なところです。
——滞在時間は建造物侵入罪の成否に影響しますか。
時間的に短かったとしても入ってしまったような場合、犯罪は成立することになります。
●店側が注意義務違反問われる可能性も
——仮に行列待ちしている利用客の行為だった場合、店側は何らかの責任を負うことはありますか。
不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条)が認められるか問題になってきます。
一般的に、店側は行列をつくる客に正しく並んで頂くよう注意する義務を負っていると考えられます。したがって、第三者に迷惑を掛けた場合、店側も損害賠償請求をされる可能性があるといえます。
客としてもラーメンを楽しむために来ているでしょうから、お店に迷惑がかかるようなことはやめていただきたいですね。そんなことを話していたら、本当にラーメンが食べたくなりました。今からラーメン屋に並んできます。変なことをしないよう注意します。