ペット犬の中でも不動の人気を誇るトイプードル。マンションの管理規約では犬の体高に制限がある場所も多く、小さく抜け毛が少ないトイプードルは、人気犬種ランキングでも、14年連続の1位に輝いています。
トイプードルの中でも特別小さいプードルは「ティーカッププードル」や「タイニープードル」とも呼ばれ、人気を集めています。しかし、弁護士ドットコムには「ティーカッププードルだと思って買ったら、成長してトイプードルの中でも大きい方になった」という相談が寄せられています。
相談者はブリーダーから「ティーカッププードル」「タイニープードルでも小さめ」と言われたトイプードルを購入しました。言われた通りにご飯をあげていましたが、大きめのトイプードルに成長してしまったそうです。
相談者は「大きくなるのなら最初からトイプードルを買っておけばよかった」と後悔しています。ブリーダーに対して何らかの請求をすることができるのでしょうか。細川敦史弁護士に聞きました。
●法律上の請求はできない
——ブリーダーの言っていることと異なり、ティーカッププードルが大きく成長したという相談が寄せられました。
言うまでもなく、犬は生き物です。成犬を迎え入れるのであればともかく、子犬を購入するのであれば、成長に伴い想像以上に体が大きくなる可能性を考えて買う必要があります。原則として、相談者はブリーダーに対し、法律上の請求はできないと考えます。
——ブリーダーは、このプードルについて体が小さいことを強調して販売したようです。
相談者がブリーダーに対し「成長しても体が小さいことを特に重視している」と繰り返し明確に告げるなどし、重要な契約内容といえるだけの事情が認められれば、結果的にこのプードルが大きく成長した場合、契約の内容に適合しないものとして、ブリーダーに対し、代わりの犬との交換を請求できるかもしれません。
ただ、個人的には、そのような解決方法はよいとは思えません。
——どれだけ成長するかは分からないと肝に銘じておくことが大事ですね。
法律上の請求ができるかとは別の問題ですが、飼い主にとって「カワイイ」や「SNS映え」のために小さな犬を求めることは、注意が必要です。
2.2kgのトイプードルが、スタッフが目を離した隙に40センチの高さのトリミング台から飛び降りて骨折した事例があります。また、超小型犬については、深刻な病気になったとき麻酔の管理が難しいこともあるでしょうし、また、手術できる獣医師を探すのが難しくなるかもしれません。
一般社団法人ジャパンケネルクラブ(JKC)もHPで、「ティーカッププードル」について、「豆柴」とあわせて、血統書に表記される正式な犬種名ではなく、スタンダードから逸脱しているため、犬としての健全性に欠ける場合がある旨注意喚起を続けています。
一定数の飼い主がより小さい犬を求めることで、繁殖業者が「消費者が求めているから」として、動物の健康を顧みない利益追求の繁殖を行うことにつながりかねません。 いずれにせよ、縁があってやってきた家族でしょうから、大きさがどうであれ、終生大切にしていただければと思います。