PC遠隔操作事件で起訴されている片山祐輔被告人の弁護団が5月22日、東京・霞が関にある司法記者クラブで記者会見をおこなった。片山被告人が再び勾留されたあと、初めての公判。その直後の会見で、主任弁護人の佐藤博史弁護士は片山被告人の内面に言及した。
これまでの無罪主張から一転して、「私が真犯人です」と弁護人に認めた片山被告人。この日の公判でも、裁判長から「やったことは間違いないのか?」と問われると、「間違いない」と述べ、起訴内容をすべて認めたという。さらに「何か付け加えることはないか?」と問われた際には、「何もありません」と短く答えたそうだ。
そんな片山被告人は、反省の言葉も口しているという。しかし、佐藤弁護士は、「そんなに簡単に反省できるくらいだったらこんな事件をおこさない。反省していないとは言わないが、心からではない。(嘘をつかなくていいという)重石がとれたという理解だ」と述べ、厳しく突き放した。
●犯行は「ゲーム感覚」だった?
また、佐藤弁護士は「自分の理解では」と断ったうえで、片山被告人の内面についての見解を示した。
「ゲームの感覚でできるところが怖い。人間的にそういう人がどんどん生まれているのが、今の時代じゃないかと思う。(片山被告人の)母親に聞いたところ、ゲームにハマって、勉強をまったくしなくなったという。どこかで非情な部分が芽生えて、前の事件まで起こしたわけだ。
(今回は)母親を心配させたくなくて、無実を主張し続けた。しかし、保釈されても、ずっと仮面を被ったままで家の中にいなくちゃいけないという生活空間だった。母親も完全に信じていないので、『大丈夫だよ』と念を押すような言葉を繰り返していたが、耐えられなくなった。一日も早く、母親をラクにさせてやろうと、(真犯人メールの送信を)やったわけだ」
●「悪魔が仮面をかぶっていた」
「私の理解では、悪魔が仮面をかぶっていたわけだが、善なる部分が悪魔のほうをずっと見続けていたことも事実だし、(彼は)自分の悪魔性を説明できる、と。
片山祐輔予備軍という人がいるかもしれないが、そういう人たちの中で半ばヒーローになりかけた。間違ったヒーローが仮面を脱いで、自分自身を見つめなおす。今までは、嘘をつき続ける日々だったが、もう嘘をつく必要はない状況をむかえた。
実刑を科して、刑務所に置けば済むという問題ではない。また、罪を軽くするという問題でもなくて、社会が抱えている悪魔を白日の下にさらしていく。それが私たちの仕事だと、裁判所や検察にも、わかっていただきたい」