「STAP細胞」の研究論文をめぐって、理化学研究所の調査委員会に「不正行為」をおこなったと認定された小保方晴子研究ユニットリーダーは4月8日、理研に対して不服申立てをおこない、再調査を求めた。
小保方リーダーの代理人弁護士が明らかにした不服申立書によると、小保方リーダーは、STAP細胞の論文に「ねつ造」「改ざん」といった研究不正行為があったと判断した理研調査委の調査報告書について、「不十分である」「結論は誤りである」などと批判したうえで、再調査の必要性を強く訴えている。
●「外部の委員に委ねるのが妥当」
注目すべきは、だれが再調査をおこなうのかについて、小保方リーダーが「注文」をつけていることだ。
理研の内規によれば、特段の事情がない限り、「当該調査を行った調査委員会」が不服申立ての審査もおこなうとされている。つまり、小保方リーダーは、不正行為を認定した調査委員会に再び審査される可能性が大きい。
それに対して、小保方リーダーは、「調査委員を新しく選び直すべきだ」と主張しているのだ。具体的には、「再調査をおこなう調査委員会」の委員について、次のような4つの要望をあげている。
(1)本調査を行った委員以外の者により構成されなければならない
(2)少なくとも半数は、法的思考について熟練した者(元裁判官、元検察官、弁護士)が適任である
(3)STAP細胞発見と利害関係のある研究者(同様の研究を行っている者、予算の配分上利害のある者など)は、排除されなければならない
(4)全構成員につき外部の委員に委ねるのが妥当である
なぜ、このような要望をしているのか。たとえば、(1)の「本調査を行った委員以外の者」という点については、「判断する主体が同一であれば、自らの判断を正当化せんとするあまり、偏った見方をするおそれがあり、その結果、公正を害するおそれがあるから」としている。
また、(2)の委員の半数以上を「元裁判官、元検察官、弁護士」といった法律家にすべきという主張については、今回の再調査では、科学的な争いよりも、「規程についての解釈」や「規程の要件に該当する行為があったといえるか否かの認定」が中心となる、という点を理由としてあげている。
このような「再調査の委員会構成」に関する小保方リーダーの要望は、理研に提出した不服申立書の5ページから6ページにかけて記されている。「再調査における調査委員会の構成」と題された項目の全文は次のとおりだ。
●再調査における調査委員会の構成
再調査にあたっては、公正な判断がなされる必要から、本調査を行った委員以外の者により構成されなければならない。判断する主体が同一であれば、自らの判断を正当化せんとするあまり、偏った見方をするおそれがあり、その結果、公正を害するおそれがあるからである。
また、本件では、一見すると科学的な紛争のようにも見えるが、現実には、(1)本規程についての解釈、(2)規程の要件に該当する行為があったといえるか否かの認定が中心であり、科学的部分について先鋭な争いがあるわけではない。
とすれば、新たに調査委員を選任するにあたっては、少なくとも半数は、上記のような法的思考について熟練した者(元裁判官、元検察官、弁護士)が適任であるものと思料する。
また、科学的見地からの検討のために、研究者をその構成に加えるとしても、STAP細胞発見と利害関係のある研究者(同様の研究を行っている者、予算の配分上利害のある者など)は、排除されなければなない(※原文ママ)。
さらに、理化学研究所内部の研究者が調査委員に入るならば、外部から見ると、派閥争いやトカゲのしっぽ切りなど、様々な憶測が生じることからすれば、全構成員につき外部の委員に委ねるのが妥当であるものと思料する。