新型インフルエンザ対策特別措置法(特措法)に基づく時短命令を2021年3月に受けた飲食チェーン「グローバルダイニング」が、命令は違憲・違法だとして、東京都を相手取り、損害賠償を求める訴訟の第3回口頭弁論が9月6日、東京地裁(松田典浩裁判長)であった。
緊急事態宣言が解除される3日前の時点でも「緊急事態」であり、感染状況からして時短命令を出す必要がある状況だったなどと主張した都側に対し、原告が反論。病床使用率など客観的な指標から緊急事態とはいえないこと、特措法の要件である「特に必要がある」を満たさない違法な目的をもって発出された命令であることなどをあらためて訴えた。
また、原告側は、慶應大・横大道聡教授(憲法学)、京大・藤井聡教授(都市社会工学)による意見書を提出した。
横大道教授は、具体的にクラスターが発生するリスクが高まっていることが実際に確認できる場合などでなければ、時短命令が「特に必要がある」場合とはいえず、グローバルダイニングへの時短命令は「特に必要がある」場合に該当しないため、違法であるとしている。
藤井教授は、統計上の数値等から、「東京都における緊急事態宣言の感染抑制効果」を検証。時短、休業、酒類提供制限、まん延防止等重点措置、緊急事態宣言のいずれも、実効再生産数(1人の感染者から何人に感染が広がるかを示す数値)を「有意に変化させていない」とした。
「グローバルダイニングへの時短命令の効果」についても、時短命令に従った4日間(3月18日〜21日)の来客数を前週の来客数と比較し、客数減少がどれだけ新規感染防止につながったかを分析。結論として、時短命令で抑止できた新規感染は「4日間で約0.081人」と算出した。
同社代理人の倉持麟太郎弁護士は、期日後に開かれた会見で、「おそらく、国民のみなさんも『本当に緊急事態宣言は意味あるの?』となりつつある。そういう直感部分を数値化したものだと思う」と話し、今後も訴訟を通じて継続的にこういったデータを出していく意向を示した。