2019年09月06日 17時24分

中学教師から15歳で性被害、女性が控訴「子どもが受けた性暴力の特殊性に理解を」

中学教師から15歳で性被害、女性が控訴「子どもが受けた性暴力の特殊性に理解を」
控訴後に東京・霞が関の司法記者クラブで会見した石田郁子さん(中央)(2019年9月6日、弁護士ドットコムニュース撮影)

中学3年生だった15歳の時、在校していた札幌市立中学の男性教師から性被害を受けたとして、フォトグラファーの石田郁子さん(41歳)が教師と札幌市を相手取り、損害賠償を求めた裁判。20年間を経過すると賠償請求の権利が消滅してしまう「除斥期間」を過ぎていると判断、訴えを認めなかった東京地裁判決を不服とし、石田さんは9月6日、東京高裁に控訴した。

これまでの訴状などによると、石田さんは1993年3月、中学卒業式の前日に教師から呼び出され、キスされるなどわいせつな行為をされたという。わいせつな行為はエスカレート、19歳になるまで繰り返され、石田さんは2016年2月にPTSDを発症したと訴えていた。石田さん側はPTSDと診断された3年前を起算点としたが、東京地裁判決は認めなかった。

控訴にあたり、東京・霞が関の司法記者クラブで会見した石田さんは、「15歳で信頼する教師から性的な行為をされた場合、それが性暴力だとはわからないです」と、子どもが受ける性暴力の特殊性をあらためて訴えた。

●「性暴力に気づかなかった被害者に非があるかのような印象の判決」

会見で石田さんは、控訴の理由を次のように語った。

「判決で裁判官は、教師に何をされたのか、年齢的にもPTSDを発症した30代までわからなかったとは認められないと判断しました。しかし、15歳から受け続けた性的な行為が、教師から恋愛だったと言われれば、性暴力だとはわかりません。大人だって、性暴力を受けたら思考停止して、すぐには動けないです。判決は、被害者に非があるかのような印象を受けました。裁判所にそういう判断をされたのは非常に不服に思います」

子ども時代の性暴力については、幼少期に親族の男性から性的虐待を受け、後にPTSDやうつ病を発症したと女性が訴えていた訴訟で、2006年に発症したうつ病については請求権を認めた札幌高裁判決を支持した最高裁の判例がある(2015年5月)。

代理人の河邉優子弁護士は、「札幌高裁の判決を引用したが、本件とは事案が違うということで、除斥期間について考慮をしてもらえなかった。一審の判決は、内容の審議まではいっていません」説明、控訴審ではさらに医師や専門家の協力を得て、PTSD発症時を損害が発生した時点として立証していきたいと話した。

また、同じく代理人の小竹広子弁護士は、性的虐待を受けた児童が、成人後55歳になるまで加害者を提訴できる法案が今年1月に可決されたアメリカ・ニューヨーク州の事例を紹介。「報道では、平均52歳になるまで、子ども時代に受けた性被害を開示しない傾向があるというアメリカの統計結果もあります。他にも、海外には同様の立法事実がありますが、日本では法制度が進んでいないということがあると思います」と地裁判決の背景を指摘した。

●「同じように教師に性被害を受けた」という声、広がる支援の輪

今回の裁判で、石田さんは地裁での提訴時より実名を公表、被害を訴えてきた。石田さんの裁判が報道されると、ニュースサイトなどのコメントには「私も同じように教師から性被害を受けた」と告白する人が多かった。

石田さんは「コメントを見て、ショックでもありました。学校の先生が何をしているんだろうと思います」と厳しく批判。「被害者が泣き寝入りしたり、被害者自身が訴えて解決するのではなく、国や自治体が解決してほしい」と性暴力を受けた児童に対する救済の必要性を指摘した。

会見では、石田さんの裁判を傍聴してきた人たちが集まって結成した支援団体「札幌市中学教諭性暴力事件の被害者を支える会」( https://schoolmetooo.wixsite.com/website )のメンバーも列席した。呼びかけ人の1人である古橋さんは、次のように語り、裁判への支援や寄付を訴えた。

「支える会としては、裁判の費用を集める活動をした上で、ゆくゆくは札幌市教育委員会にこの事件について調査を求めていくことを考えています。子ども達を安心して学校に通えるようになるためには、この被害実態を直視してほしいです」

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