出入国在留管理庁の佐々木聖子長官は9月9日、東京・丸の内の外国特派員協会で会見をおこなった。同庁の施設に収容されている難民申請者をふくむ、在留資格のない外国人が、十分な医療を受けられていない問題について、佐々木長官は「今の状況が、十二分であるという認識をもっているわけではない」という見解を示した。
●「医師の確保にむずかしさを感じている」
出入国在留管理庁の施設めぐっては、在留資格のない外国人の収容が長期化している問題が批判されている。一部の外国人が「ハンガーストライキ」(ハンスト)をおこなって抗議する状況も発生している。また、収容されている人が、体調悪化を訴えたにもかかわらず、支援者が呼んだ救急車で搬送されていなかったことも報じられている。
この日の会見で、記者から、収容施設における外国人の処遇について問われると、佐々木長官は「入管としては、適切な処遇をするために、いろいろなものを準備していかないといけないという認識がある」「入管のすべての仕組みについて、十全とは考えていない。不断ではあるが、何ができるか考えていきたい」と話した。
さらに、収容されている外国人が、医師の診察を受けたいと申し立ててから、実際に受けられるまで、相当の時間がかかるという指摘もある。この点について、具体的にどう改善していくのか、という質問もあった。
佐々木長官は「常勤の医師の確保にむずかしさを感じている」「職員と医師とのコミュニケーションのさらなる円滑化や、医師の診療科目をより増やすなど、これからも充実させていきたい」と強調。常勤の医師がいない場合は「外部の病院を受診できる体制の強化や、収容者を受け入れる病院の開拓をしていきたい」と語った。
●長期収容は「送還の促進で解決すべきだ」
一方、外国人の収容の長期化については、「退去強制令書が発行されたあと、送還までの収容が長期化しているのではないかというご意見をいただいているが、(収容は)送還するという法律上の目的のために、確実に身柄を確保しておくという目的がある」「わたくしどもとしては、(強制)送還の促進で解決すべきものだと考えている」とした。