「首輪をしているネコが我が家の庭でフンをしていく…」「近所の飼い猫が放し飼いにされている。花壇荒らして、ついでにフンするのやめてほしい」。
ネコのフン害に悩む人たちから、このような声が上がる。中には「ネコに罪はない!でも、飼いネコならば、飼い主に責任はあると思う」という投稿もみられる。
弁護士ドットコムにも、隣人が飼っているネコのフン害に悩まされている人が「損害賠償請求はできますか」と相談を寄せている。
相談者によると、隣人のネコは放し飼いにされているという。ネコが相談者の自宅の敷地内でフン尿をするたびに匂いに悩まされたり、ネコ除けの忌避剤などを買わざるを得なくなったりしたそうだ。
このような場合、飼い主である隣人に損害賠償請求はできるのだろうか。ペットトラブルに詳しい佐藤塁弁護士に聞いた。
●損害賠償請求はできる?金額は?
ーー相談者はネコの飼い主である隣人に損害賠償を請求することはできるのでしょうか。
結論としては、民法上の不法行為として、飼い主に対して損害賠償請求をすることができる可能性が高いです。ただ、請求が認められたとしても、認められる金額は残念ながらあまり大きくはなりません。
まずは、相談者が買うことになったネコ除けの忌避剤などの実費分は損害として認められる可能性が高いです。また、慰謝料については、フン害の程度などにもよりますが、20~30万円程度認められればかなり良い方かと思います。
なお、ネコのフン尿で被害を受けたことや被った損害の証明は、損害賠償を請求する側がしなければなりません。そのため、ネコがご自宅でフンをしている様子を録画するなどして証拠を確保しておくことが重要です。
このように、フン害のようなペットトラブルで、飼い主に損害賠償請求をすること自体は理論的には可能です。しかし、これからも同じ場所で生活していく場合、裁判で徹底的にご近所さんと争うことについては、ためらう方が多いです。
●裁判以外の解決方法はある?
ーーこのようなフン害をめぐるペットトラブルには、どのように対応すべきでしょうか。裁判以外にとりうる解決方法はありますか。
まずは柔軟に(1)話し合いによる解決を目指しましょう。飼い主に対して、ネコによる被害の状況と飼い主の責務(動物の愛護及び管理に関する法律7条1項)を説明し、ネコの侵入防止のフェンス設置など、自分が飼い主に対応してほしい措置をするように求めてみましょう。
もし、飼い主が話し合いに応じてくれない場合には、(2)地方公共団体へ相談をしてみましょう。地方公共団体に介入してもらうことで飼い主の対応が変わることも十分あります。
地方公共団体に相談すると、ネコの飼い主に対して、適切に飼育するように指導等をおこなってくれることがあります。もし、飼い主がその指導に従わない場合には、地方公共団体は、必要な措置をとるように勧告したり、場合によっては必要な措置をとるように命令が出すことができ、飼い主に対しては50万円以下の罰金刑を科される可能性があります。
ただし、対応をおこなうか否かは地方公共団体の裁量に委ねられています。実際のところ、飼い主に対して罰金が出るところまではほとんど期待できず、地方公共団体から飼い主に対して指導してくれるにとどまることが多いでしょう。
(1)話し合いでも(2)地方公共団体への相談でも改善されないということであれば、一回弁護士に相談してみるといいと思います。弁護士から内容証明を送って交渉したり、場合によっては裁判をしたりということで改善に向けて進めることも可能です。
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