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JASRAC、音楽教室での演奏の「使用料規定」を文化庁に届出…来年1月徴収目指す
JASRACは記者会見を開いた

JASRAC、音楽教室での演奏の「使用料規定」を文化庁に届出…来年1月徴収目指す

音楽教室から著作権使用料を徴収すると表明している「JASRAC」(日本音楽著作権協会)は6月7日、東京都内で記者会見を開いて、文化庁長官あてに、音楽教室での演奏利用に関する「使用料規定」を届け出たと発表した。今年10月ごろから、個別の事業者に対して「契約手続き」の案内をおこなったうえで、来年1月から徴収をスタートさせたいとしている。

JASRACによると、使用料には(1)年額(2)月額(3)曲別の3種類をもうけて、音楽教室側に選択させるかたちにする。(1)年額は、JASRACが管理する楽曲を使用する講座の受講料収入から2.5%(上限)とする。(2)月額は、受講者数と受講料からみた売上に対して5%相当、(3)曲別(1曲1回5分まで)は、受講者数と受講料からみた売上に対して0.5%相当とする。

JASRACの大橋健三常務理事は会見で「大手音楽教室の管理水準が一定レベルに達したら、個人教室についても管理の対象にしたい」と述べた。たとえば、ホームページを作っていたり、電話帳に連絡先を記載しているなど、恒常的に生徒を募集している個人教室からの徴収を想定しているという。

ヤマハ音楽振興会など音楽教室側は「音楽教育を守る会」を結成して、7月ごろをめどに、使用料の支払い義務がないことを確認する訴訟を起こす準備をすすめている。浅石道夫理事長は「(音楽教室は)私たちの仲間だと思っている。訴訟ではなく、話し合いで解決できると考えており、窓口はいつでも開けている」と強調した。

●JASRAC会長「クリエイターに敬意をもってもらいたい」

JASRAC会長で作詞家のいではくさんは、会見で次のように話した。

「クリエイターに対して、世の中がもう少し敬意をもってもらったらいいと思う。無から有を生み出すことは多大なエネルギーと努力が必要だ。ある程度の尊重心をもっていただければ、こういった争いごとにはならないんじゃないか。日本が文化国家を目指すのであれば、そういった意識を国民のみなさんにもっていただくことが重要だ。

たまたま、楽器教室の問題になったが、ヤマハさんなり、カワイさんなりは大企業だ。企業がお金儲けを中心に考えるのも仕方ないかもしれないが、創業者が持っている心、精神が受け継がれていけば、もう少し『お金、お金』『利益、利益』に走らなくてもいいんじゃないか。そういうことが重要ではないかと私は考えている」 

(弁護士ドットコムニュース)

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