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盗撮魔に「2度とするな」と説教してお金要求…「盗撮ハンター」は正義の味方か?
画像はイメージです(プラナ / PIXTA)

盗撮魔に「2度とするな」と説教してお金要求…「盗撮ハンター」は正義の味方か?

男性2人組に盗撮行為を見とがめられ、50万円を支払った人が弁護士ドットコムに質問を寄せました。

相談者は、商業施設内で盗撮しました。その後、2人組の男に声をかけられ「要求に従えば何もしない」と伝えられたそうです。要求された50万円を渡し、動画を自分で削除。男たちは「2度とこんなことをしないように」と相談者を叱った上で、解放したといいます。

男性は「自分に非があることは重々承知はしていますが、盗撮ハンターと思わしき2人にも恐喝は成立しないのでしょうか」と聞いています。

「盗撮ハンター」たちの行為は「恐喝」など何らかの罪にあたるのでしょうか。西浦善彦弁護士に聞きました。

●盗撮ハンター「恐喝罪」に該当する可能性

「相談のケースでは、男性2人組の行為は、恐喝罪に該当する可能性があると考えます。刑法は『人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する』(第246条第1項)としています。

ここにいう『恐喝』とは、人に暴力を加えたり、被害を及ぼすことを伝えることで金銭などを要求することを言います。

今回のケースでは、盗撮ハンターは、相談者に『要求に従えば何もしない』と伝えており、要求に従わないと110番通報することをほのめかしています。

確かに、盗撮のような迷惑防止条例違反の犯罪を捜査機関に通報することは、一市民として推奨される行為ですが、仮に正当な行為であっても、相手の弱みに付け入り金銭を要求した場合、恐喝に当たる可能性があるのです。

男たちは『2度とこんなことをしないように』と相談者を叱ったとのことですが、自分たちが恐喝をしておきながら、金八先生、または、正義の味方のように振る舞うことに腹が立ちますね」

民事で、返金を求めることは可能でしょうか。

「相談者が『通報されたくない』という恐怖により冷静さを欠いて、50万円を渡してしまったことが立証でき、かつ2人組の氏名と住所がわかれば、民事訴訟において、この金額を取り戻せる可能性があると考えます」

●今も後悔する、ある盗撮事件

そもそもの原因である「盗撮」も許されませんが、「盗撮ハンター」をする人たちがいることにも驚きます。

「私がかつて経験した美人局の事件では、男女のグループが巧妙な手口を用いて若い男性を騙すものでした。今回のケースでは、2人組の男性が知人の女性にあえて短いスカートを履かせて階段を歩かせるということがなかったか、商業施設の防犯カメラなどを確認するなどしてみてはいかがでしょうか。

私が弁護士1年目の頃、三軒茶屋駅でドラゴンボールのレッドリボン軍のTシャツを着た男が女子高生のスカートの中を携帯カメラで盗撮している場面を目の前で目撃し、当時若かった私は、何も声を上げることができませんでした。

今発見したら、こっぴどく叱るはずですが、それが悔しくて、以後、三軒茶屋に行った時は、目を皿のようにしてレッドリボン軍を探しています。盗撮している人物に声をかけることはそれなりに勇気のいる行動であり、正義感ある行動であるはずです。それだけにこれを逆毛にとって、金銭を脅し取るような行動は放置したくありませんね」

プロフィール

西浦 善彦
西浦 善彦(にしうら よしひこ)弁護士 佐藤・西浦・西中山法律事務所
不動産紛争、事業承継、M&A、スポーツ・エンターテイメント、相続・成年後見、刑事事件などを取り扱う。杉並区教育委員会学校法律相談担当。

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