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死刑制度の世論調査「回答する選択肢を見直すべき」、日弁連が意見書「時代変わった」
あいさつする小田清和・日弁連副会長

死刑制度の世論調査「回答する選択肢を見直すべき」、日弁連が意見書「時代変わった」

日本弁護士連合会(日弁連)は7月25日に開いた定例会見で、死刑制度に関する政府世論調査について、意見書をまとめ明らかにした。法務省など関係機関に説明していくという。

政府は近年では5年に1回のペースで、調査機関を使って死刑制度に対する国民の認識を調査している。直近の2014年度調査(日本国籍を有する満20歳以上の3000人が対象)では、死刑制度の存廃について「死刑は廃止すべきである」と答えた人の割合が9.7%で、「死刑もやむを得ない」は80.3%だった。

●国民の認識、より正確に把握を

国民の認識をより正確に把握するため、日弁連は意見書で、回答する選択肢を見直すよう指摘。「死刑は廃止すべきである」「どちらかと言えば、死刑は廃止すべきである」「どちらとも言えない」「どちらかと言えば、死刑は残すべきである」「死刑は残すべきである」の5つから選べるようにすべきだとした。

死刑廃止を可能にするような条件や手続きに関する質問も追加すべきと主張。さらに、死刑が凶悪犯罪を抑止する効果があるか検証するため、一定の期間は試験的に死刑を取りやめ、それにより凶悪犯罪が増えるか見極めた上で存廃を決めるという方法への賛否も質問すべきだとした。

日弁連の資料によると、死刑制度に関する調査の回収率は長期的に低下傾向にある。1956年度の初回調査で84.5%だったものの、2014年度調査では60.9%にとどまった。また、死刑廃止国は1956年当時は8カ国だったが、2016年12月末時点では141カ国(事実上の廃止国を含む)だという。

日弁連は意見書で、「時代は変わった。主質問の構成を踏襲する必然性はない。死刑に関する多種多様な国民の意識をより正確に把握するためにはどのような質問構成がふさわしいのかを考える必要がある」と訴えた。

(弁護士ドットコムニュース)

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