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大崎事件、検察の特別抗告は「人道上、許されない」日弁連がけん制
日弁連・中本会長(左)と木谷明弁護士

大崎事件、検察の特別抗告は「人道上、許されない」日弁連がけん制

いわゆる「大崎事件」で福岡高裁宮崎支部が3月12日、再審を認める判断をしたことを受け、日弁連の中本和洋会長が記者会見を開き、「特別抗告することなく、速やかに今回の決定を確定させるよう強く求める」と検察に要望した。大崎事件は冤罪の可能性があるとして、日弁連が支援している全12事件のうちの1つ。

仮に検察側が特別抗告すれば、最高裁で再度判断されることになる。年単位の時間がかかることが見込まれるが、冤罪を主張する原口アヤ子さんは今年で91歳。「一刻の猶予も許されない」(中本会長)状況だ。

原口さんは2017年6月、鹿児島地裁で再審開始決定を受けたが、検察が即時抗告していた。今回の決定について、中本会長は「8か月半という短期間で出した決定を高く評価している」。

原口さんは2002年にも鹿児島地裁で再審開始決定を受けている(のちに取り消し・棄却)。再審を認める判断は、2017年の地裁決定と合わせて今回で3回目。中本会長は「3度の重みを理解してほしい」と強調する。

弁護団に加わっている裁判官出身の木谷明弁護士は、近年の検察の傾向から「検察は勝つ勝たないを度外視して、とにかく(特別抗告を)やるんだという姿勢が見え見え」と指摘。原口さんの年齢に触れ、「人道上、許されない」とけん制した。

大崎事件は、1979年に鹿児島県大崎町で男性1人の遺体が見つかったというもの。原口さんは殺人罪などで10年間服役したが、一貫して犯行を否認しており、再審請求していた。今回の決定では、鹿児島地裁決定同様、原口さんの夫(1993年に65歳で死去)の再審も認められている。

(弁護士ドットコムニュース)

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