2017年11月23日 10時23分

座間事件被害者「実名報道」各紙の違い…産経は実名で一貫、朝日・毎日・日経は匿名に

園田昌也 園田昌也
座間事件被害者「実名報道」各紙の違い…産経は実名で一貫、朝日・毎日・日経は匿名に
産経新聞は再逮捕に際し、被害者の実名と写真を掲載した(21日朝刊一面)

座間9遺体事件の被害者報道をめぐり、新聞社ごとに変化が出ている。11月20日、容疑者の男性(27)が東京都八王子市の女性(23)に対する殺人容疑で再逮捕されたが、このニュースで読売新聞と産経新聞は被害者女性を実名で報じたのに対し、朝日新聞、毎日新聞、日本経済新聞は匿名で報じた。産経新聞は女性の写真も掲載した。

この事件では、遺族が自粛を求める中、被害者全員の名前と写真が報じられ、神奈川県弁護士会などから批判が出ていた。メディア側も、西日本新聞が写真の掲載に当たり、社内で異論があったことを明かす(11月14日朝刊)など、被害者報道のあり方をめぐり議論になっている。

国会図書館で、各社のデータベースや実際の新聞を調べたところ、実名報道をめぐり、新聞社間で違いが見られた。たとえば、上記の再逮捕以外だと、容疑者宅から被害者2人の携帯電話が見つかったという14〜15日の記事で、産経新聞が2人の実名を伝えたのに対し、他紙は「横浜市の女性」、「東京都八王子市の女性」と報じている(日経には該当記事が見つからなかった)。

22日までの報道を総合すると、産経新聞は基本的に実名。それ以外の全国紙は、13日ごろから、再逮捕時に読売が実名を出したことを除き、匿名に切り替えている印象だ。

以下、各紙の実名・匿名の流れを紹介する。全国紙と東京新聞は22日までの朝夕刊(産経は朝刊のみ)、ほかの地元紙は21日までの朝刊のみ。ただし、地域や版によって異なる可能性がある。また、この変化が被害者や遺族に配慮したものなのか、字数などの関係なのかは明らかではない。弁護士ドットコムニュースでは、今後、各社に意図を取材する予定だ。

●読売の紙面は実名も、ネットでは匿名化

朝日は11月10日の朝刊一面で被害者全員の名前を報道、社会面には写真を掲載した。11日も引き続き、写真を用いて被害者の人となりなどを紹介している。しかし、被害者の実名をデータベースで検索したところ、ヒットするのはこの日まで。12日以降は、「八王子市の女性」などの表現になっている。

毎日新聞は10日朝刊の一面で八王子市の女性を除く8人の写真を掲載。12日に、埼玉県の被害者(19)が通っていた大学の記者会見などを実名で報じたが、13日以降、実名報道はない。

読売新聞も10日の一面では八王子市の女性を除く8人の写真を載せた。毎日同様、12日の会見は実名だったが、データベースによると13日〜19日まで実名はなかった。殺人容疑での再逮捕についても、見通しを伝える記事では「八王子市の女性」で、逮捕を報じた20日の記事では実名を使った。ただし、ネットの記事は、匿名に切り替わっているようだ。

産経新聞は、基本的に実名報道。一方、興味深いのは日経新聞だ。産経と日経の記事の中には、ほぼ同じ内容のものがあり、共同通信の配信記事とみられる。たとえば、福島県の被害者(17)が通った高校の全校集会を報じるものだ。元が同じ記事でも、産経は実名になっているのに対し、日経は匿名にして使っていることが分かる。日経新聞は被害者の名前が公表された際も、10日の朝刊では名前だけで顔写真は載せていない(10日夕刊に8人、11日朝刊に全員の写真を掲載)。

●東京新聞は11日以降、原則匿名 神奈川新聞は写真掲載せず

以上は全国紙の事例だが、被害者が出た1都4県の地元紙も、オリジナルの記事を掲載している。

東京新聞は、10日の朝刊で新たに身元が判明した8人の写真を掲載した。以降、被害者については、共同通信の配信記事とみられる分も含め、匿名化しているが、データベースによると唯一13日夕刊の自社記事で、横須賀市の男性(20)の実名を出した。

神奈川新聞は、11日の朝刊で被害者全員の名前を掲載したが、写真は1枚も載っていない。以降も、署名が入っている記事では、「横須賀市の男性」など、匿名になっているようだ。ただし、共同通信の配信と見られる記事については、書き換えをせず、実名が出ているものもある。

群馬県の上毛新聞は10日朝刊で、身元が判明する前の段階で、行方不明の女子高生宅に張り紙があったことを匿名で報じている。翌11日には、女子高生(15)の実名と写真を一面と社会面で報じ、「国内社会面」で、ほかの被害者の写真も掲載した。以降の記事では、女子高生について、実名と「邑楽町の女子高生」という表現が入り混じっている。

福島県には、福島民友と福島民報の2紙がある。福島民友は10日の朝刊一面に、県内の女子高生(17)の写真を掲載。社会面に埼玉県の女性1人を除いた計8人分を載せた。翌11日の社会面では全員分を掲載。14日には、被害者が通っていた全校集会の模様を実名で報じた。福島民報は、11日朝刊一面に全員の顔写真を掲載。14日は福島民友同様、全校集会を実名で記事にした。

埼玉新聞は、11日の朝刊一面に被害者3人の顔写真、社会面に全員分を載せた。12日は、被害者のひとりが通っていた大学の記者会見を実名で報道した。

(弁護士ドットコムニュース)

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