「家の下に住んでるおじさんが、うちの自転車、舐めまわしてた」。ある女子高生が、自転車のサドルに顔を寄せる中年男性の画像をツイッターで公開し、ネットで「妖怪サドル舐め」と話題になっている。
ツイートによると、男性は以前からこの女子高生の自転車に「何か」をしていたようだ。ある日、怪しんだ女子高生が母親とともに監視していたところ、男性が自転車のサドルを舐めていたところに遭遇したという。女子高生によると「ちなみにハンドルもしゃぶり回されてたよ」とのこと。
ネットでは「このチャリ捨てるしかないな」「これはかなり気持ち悪いな」などの声があがっている。もし事実であるとするならば、自転車のサドルを舐める行為は、法的にどんな問題があるのだろうか。寺林智栄弁護士に聞いた。
●器物損壊罪の可能性
——男性の行為は犯罪?
サドルを舐め回す行為は、器物損壊罪に該当し得ます。「おじさん」は3年以下の懲役又は30万円以下の罰金もしくは科料に処される可能性があります。女子高生はおじさんに対して、自転車の代金や慰謝料を請求することもできるでしょう。
「舐めるのも損壊なのか」と疑問に思われるかもしれませんが、判例は損壊について、物理的に壊すことに限らず、心理的に使用できなくなる行為も含まれるとしています。かつて料理店の食器に放尿した行為が、器物損壊と判断されたことがありました。今回のケースは、心理的な抵抗感が放尿よりは弱いように思えますが、該当する可能性は否定できないでしょう。
——警察には行った方が良い?
投稿が事実であれば、おじさんが悪質なストーカーである危険性が相当程度あると考えられますから、警察に届出を出すべきだと思います。
なお、自転車のサドルを舐めるのではなく、匂いを嗅いでいたような場合には、法的な責任を問うのは難しいように思われます。しかし、やはりストーカーの懸念がありますので、警察には相談すべきでしょう。また、弁護士を通してそのような行為をやめるよう警告を発しておくといった対応をしておくことも有効かもしれません。
女子高生にしてみれば、あまりの衝撃に思わず画像付きでツイートしてしまったのだと思います。ですが、もし知っている人が見れば、誰がやっているか分かってしまうような場合には、プライバシー侵害や名誉毀損に該当する危険性があります。
また、女子高生の投稿に対して、「僕も舐めたいです」などと返信している人もいるようです。かえって自分が責任を問われたり、気味が悪い思いをしたりする危険性もありますので、こうした事態に遭遇した時は、すぐに行動するのではなく、周りの人に相談して警察に届け出るなど、冷静な対応をすることが重要だと思います。