「裁判所の職員を名乗る人物から、怪しい電話がかかってきた」という通報があいついでいるとして、最高裁が注意を呼びかけている。11月は裁判員候補に選ばれた人に連絡がいく時期だが、それに紛れてウソの電話をかけ、個人情報を聞き出そうとする輩がいるようだ。
「裁判所から、電話によって、名簿記載通知や裁判員等選任手続期日のお知らせ(呼出状)が届いているかの確認を口実に、再送するための住所を聞き出したり、裁判所等への出頭を求めたりすることはありません。そのような電話があっても、応じずに電話を切るようにし、氏名や住所等の個人情報を教えることのないよう、十分ご注意ください」
このような警告を、裁判所のウェブサイトに掲載しているのだ。
最高裁の広報課は、弁護士ドットコムの取材に対して、「こうした通報は今年6月頃から、全国の裁判所に寄せられている」と答えている。怪しい連絡は電話だけではない。あたかも裁判所に関係があるような名前の団体から「不審な電子メールが届いた」という情報も寄せられているという。
●裁判員候補への連絡は「封書」で送られるが・・・
「不審な電話」は、たとえば、次のような内容だという。
「裁判員を選ぶための呼出状を送ったところ、その郵便物が戻ってきてしまった。期日に出頭してほしいので、もう一度郵便を送りたいから住所を教えてほしい」
「裁判員に選ばれたので書類を送ったが届いているか。書類を再送するので必要事項を記入して返信してほしい」
実は、全国各地の裁判所は11月中旬、裁判員の候補に選ばれた人に対して「あなたは裁判員候補者名簿に登録されました」という内容の書類を送ることになっている。
しかし、書類は「封筒」で送付され、ハガキや電話、メールなどで知らされることはない。また、裁判員に関する書類が届いているか確認するため、裁判所が電話で住所を聞き出すこともないという。
最高裁は、そのような電話があった場合、「氏名や住所等の個人情報を教えることのないよう、十分ご注意下さい」として、応じずに電話を切るよう注意を促しているのだ。
●「家庭裁判所局長」の名前をかたった不審メール
また、不審な電子メールは、次のようなものがあるという。
「コンテンツ利用料金の未払いにより裁判が起こされた。今後、給与、動産物、不動産の差押さえを行う」
「支払い遅延の損害賠償金を支払わないと全財産を差し押さえる。三親等の財産も差押えの対象となる」
このようなメールが、「民事司法事務総局」や「家庭裁判所局長」と名乗る差出人から送られてくるのだという。連絡先として、実際の裁判所の住所が記載されていることもあるが、裁判所が、電子メールで裁判が起こされたことを知らせたり、金銭の振込を求めることはないという。
このような怪しい電話やメールに関する情報は、全国の裁判所に寄せられており、各地で注意喚起がなされている。最高裁は「少しでも不審に感じたら、最寄りの裁判所にお問い合わせください」と呼びかけている。