警察庁は6月5日、「闇バイトで人生を棒に振らないために知っておくべき5つのこと」と題した啓発資料を公表した。夏休みを前に中高生へ闇バイトの危険を周知することが目的だ。
夏休みには子どもたちの自由な時間が増え、SNSや知人の誘いに接触しやすくなる。資料によると、2025年に検挙された少年のうち、特殊詐欺の受け子などになったきっかけの約6割が知人・先輩の紹介がきっかけだったという。
●1)「先輩、友達からの誘いでも応じないで」
資料では、SNS上で知らない人からの誘いはもちろん、親しい先輩や友達からの紹介でも応じてはいけないとしている。犯行グループは「誰でもいいから身代わりになる使い捨て」を求めているという。
「一緒に仕事してくれないと俺が殺される」。そう言われ闇バイトに誘われた少年は、特殊詐欺の受け子を行ったが、報酬は一切支払われなかったという。また、金に困って地元の先輩に相談した少年は、窃盗に失敗したうえ「カンボジアに連れて行く」と脅され現金を奪われた。
●2)「必ず捕まる」
たった一度でも闇バイトに手を染めれば、脅しなどにより逮捕されるまで使われ続けるとしている。2025年の検挙数は1万2178人(うち少年1322人)。関東1都3県の一連の強盗事件18件では、指示役4名を含め全ての実行役が逮捕されている。
強盗致死傷罪の法定刑は、死刑か無期拘禁刑という厳罰だ。
東京都狛江市の強盗致死事件では、犯行当時19歳の実行役が懲役23年の判決を受けた例を紹介。「『少年だから』では済まされない」としている。闇バイトを他の人に紹介しただけでも捕まると注意を呼びかけた。
●3)「銀行口座やスマホを売らないで」
通帳やキャッシュカードを売ることは犯罪で、二度と銀行口座を作れないことがある。スマホやSIMカードを勝手に売ることも犯罪だという。
SNSで知り合った男と口座を売る約束をした少年は、「担保として5万円をくれ」「個人情報さらすぞ」と脅された。寝室の銀行封書を母親が見つけ、警察に相談した。
中学生や高校生がSIMカードを不正契約して転売し、詐欺に利用され逮捕された事例も掲載されている。
●4)「外国に渡航すれば、二度と戻れなくなる恐れ」
海外で儲かる仕事に誘われ渡航した結果、犯罪に加担させられ、脅迫・監禁される事案があるという。
「悲惨な現実」として、次のような証言が並んだ。
有刺鉄線の塀に囲まれた拠点でパスポートやスマホを取り上げられ、マシンガンを持った警備員のもとで詐欺をさせられたという証言がある。やめたいと伝えると「臓器を売るぞ」「家族を殺す」と脅され、暴行で骨折した人もいたという。
その他、「睡眠薬を大量に入れたビールを飲ませられ泡を吹いて壁に頭を打ちつけられた」「自分が吐いたご飯を食べさせられた」「ぼこぼこに殴られ血を流しながら土下座をさせられた」といった壮絶な体験談も掲載されている。
●5)「今ならまだ引き返せる」
闇バイトへの応募では身分証や顔写真の送信を求められ、それを握られて脅迫され犯罪に加担させられるケースが多いという。自分や家族が脅されたり、あるいは巻き込まれそうだと気づいたら、すぐに110番へ通報するよう呼びかけている。
2024年10月以降、699件の保護措置が講じられ、「これまで保護された方々は、誰1人として襲われていない」としている。