コンビニのセルフ式コーヒーで、支払った金額よりも多くの量をカップに注ぐ不正を繰り返したとして、兵庫県教育委員会は高砂市立中学校の校長を懲戒免職処分とした。
県教委などによると、校長は昨年12月、レギュラーサイズ(110円)を注文したのに、ラージサイズ(180円)の量をカップに入れたとして、窃盗の疑いで書類送検されていた。昨年6月から12月まで約半年の間、複数の店舗で同様の行為を7回も繰り返していたという。
被害総額は単純計算で490円。SNSでは「処分は重すぎるのではないか」という声があがり、「懲戒処分」というワードが、Xのトレンドに一時入った。どのような判断に基づき、懲戒処分となったのか。教育委員会を取材した。
●「過失ではなく、わかったうえで繰り返していた」
県教委によると、校長は昨年12月、窃盗の疑いで書類送検されたあと、神戸地検姫路支部から起訴猶予の不起訴処分とされたが、行為は事実だと認められたことから、県教委は「教育公務員としてふさわしくない著しい非行」と判断し、懲戒免職とした。
校長の処分が報じられると、X上では「懲戒免職」という言葉がトレンド入りするほど話題になった。
レギュラーとラージの価格差は1杯70円で、不正を7回繰り返したことから、単純計算で被害金額は490円と試算される。その金額に見合わず、「処分が重すぎる」という意見も少なくない。
しかも、県教委によると、校長に退職金は支払われないという。あまりにも大きなものを失ったという見方も可能だ。
判断は妥当だったのか――。こうした声を受けて、県教委は「処分は基準を踏まえて対処した」と説明する。
過去に窃盗を繰り返して懲戒免職になった教職員の処分例も踏まえたものであること。さらに、校長は1回の間違い(過失)ではなく、窃盗の認識がありながら、わかったうえで繰り返しやっていること。
そうしたことが最も重い処分に至った理由だという。
●校長「心の底から申し訳なく思っております」
校長は「校長として教職員の先頭に立ち、服務規律の順守及び不祥事の未然防止に取り組み、生徒たちにとって安心安全な学校作りを推進していくべき立場である者が、今回このような事案を起こしてしまい、心の底から申し訳なく思っております」と話しているという。
市教委によると、校長は昨年12月から休んでいた。学校から保護者への説明の機会はすでにあったが、処分翌日の1月31日午前には、生徒らにも説明したという。
懲戒免職の判断の軽重について、市教委は回答を控えた。