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ラーメン二郎亀戸店に頼んでもない「寿司の出前」、遊び半分のイタズラでも「人生狂う」罪に問われるおそれ
ラーメン二郎亀戸店(Googleストリートビューより)

ラーメン二郎亀戸店に頼んでもない「寿司の出前」、遊び半分のイタズラでも「人生狂う」罪に問われるおそれ

ラーメン二郎亀戸店(東京都江東区)に、注文していないピザや寿司が届くという被害があったことが話題になっています。

亀戸店の公式アカウントがエックス(旧ツイッター)で9月18日に明らかにしたもので、昨年暮れに宅配ピザ「ピザハット」から2回、宅配寿司「銀のさら」から2回、まったく注文していない料理が届いたとのことでした。なかには、3万円近くする寿司が届いたこともあったそうです。

亀戸店では、「もう一度、このようなイタズラの注文がきたら警察に相談しよう」と思っているそうです。嫌がらせかイタズラ目的と考えられますが、こうした送りつけ行為にはどのような法的問題があるのでしょうか。西口竜司弁護士に聞きました。

⚫️「偽計業務妨害罪」に問われる可能性

こういうお話を聞くと悲しくなってしまいますね。昔からよくある嫌がらせですが、注文を受けた店も、送ってこられた店にも迷惑をかける行為なので、絶対にやめてください。

まず、刑事の話になってくるのですが、注文を受けた店に対して、「偽計業務妨害罪」(刑法233条)が成立すると考えられます。

「偽計」というのは、人をだましたり、人が知らないことを利用することを言います。店側は、注文があったとだまされているので、「偽計」にあたってきます。この犯罪では、実際に妨害されることまでは必要ありません。

そして、この犯罪が成立すると、3年以下の懲役(刑法改正により、まもなく拘禁刑)または50万円以下の罰金が科せられることになります。

⚫️ラーメン二郎亀戸店側も損害賠償請求が可能

次に、民事についてです。犯罪行為によって、商品代金相当額の損害を与えたことになりますから、店側に損害賠償(民法709条)が認められることになります。損害賠償の金額としては、代金相当額に加えて、弁護士費用などが認められることになります。

もちろん、ラーメン二郎側についても、先ほどの話と同様に頼んでもいないピザや寿司が届いて業務が止まってしまうことになりますので、「偽計業務妨害罪」が成立することになります。同様に、ラーメン二郎側も、不法行為に基づく損害賠償請求をすることが可能です。

いずれにせよ、今回の行為は犯罪にあたります。遊び半分でやってしまうと、あなたの人生が狂ってしまいます。このような行為は二度と止めましょう。

プロフィール

西口 竜司
西口 竜司(にしぐち りゅうじ)弁護士 神戸マリン綜合法律事務所
大阪府出身。法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士をめざし多方面で活躍中。予備校での講師活動や執筆を通じての未来の法律家の育成や一般の方にわかりやすい法律セミナー等を行っている。SASUKE2015本戦にも参戦した。弁護士YouTuberとしても活動を開始している。今年からXリーグにも復帰した。

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