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国際ロマンス詐欺、弁護士による二次被害も 現実は「お金を取り戻すのはほぼ不可能」
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国際ロマンス詐欺、弁護士による二次被害も 現実は「お金を取り戻すのはほぼ不可能」

「国際ロマンス詐欺」の被害が止まらない。外国人や外国人を装った人物が、SNSを通じて恋愛感情を抱かせお金を騙し取るもので、新型コロナウイルスの感染が広がった約3年前から被害が確認されている。

当初は「日本に会いに行くため10万ドルを送金して欲しい」「事故に遭ったからお金を振り込んで欲しい」など直接お金を振り込むよう要求するものが多かったが、投資に誘いお金を騙し取るケースが増えているという。

残念なことに、現状では国際ロマンス詐欺で失ったお金を取り戻すのはほぼ不可能だ。しかし、「回収は確実」とうたう弁護士などによる二次被害も起きている。消費者被害にくわしい金田万作弁護士にその実情を聞いた。

●被害額が1億円近くにのぼる人も

詐欺師はマッチングアプリやインスタグラム、ツイッターなどのSNSで接触してきた後、LINEに誘導する。いきなり投資の話が切り出されるわけではなく、毎日のようにLINEをやりとりして、恋人同士のように交流を深める。直接的な愛の言葉も繰り出され、次第に被害者には恋愛感情が芽生えていく。

ときには数カ月かけて信頼関係を築いたあと、偽の投資サイトに誘導をし、銀行口座に送金させたり暗号資産に投資をさせたりする。最初は儲かった10万円ほどが引き出せることもあるといい、信じ込んだ被害者はどんどんお金をつぎ込んでしまう。

「儲かったお金を引き出そうとすると、『税金がかかる』と言われてお金を払わされることもあるようです。長期間お金を払い込み続け、最終的にお金がなくなった時点で、はっと冷静になったり家族にお金を借りる相談をしたりして、騙されたことに気付くというケースが多いです」(金田弁護士)

被害者の男女比は半々で、婚活している人がターゲットになることが多い。年齢層は高めで、お金もある程度持っているため、被害額が数千万から1億円近くにのぼる人もいる。

2021年9月からの1年間で東京投資被害弁護士研究会に寄せられた「国際ロマンス詐欺」の相談件数は208件で、被害総額は約34億円。同研究会は、全国規模でみれば年間500億円以上の被害が生じているとみている。

騙されたお金は取り戻すことができるのだろうか。金田弁護士は「9割以上は回収できない」と話す。

「お金を振り込んだ銀行口座を凍結した時に、たまたまその口座にお金が残っていれば一部回収できますが、こうしたケースは全体の1割程度にすぎません。暗号資産や仮想通貨については、ほぼ100%回収できないような状況です」

唯一の頼みの綱であるLINEも、弁護士による情報開示は応じてもらえないため、相手を特定するには警察による捜査を待つしかない。

●弁護士による二次被害も

そんな中、「必ずお金を回収できる」とうたう広告や、高額な着手金を請求しながらも事件処理の報告がなく着手金倒れになるといった「弁護士による二次被害」も報告されている。

東京弁護士会は2022年9月、国際ロマンス詐欺を扱う弁護士業務広告の違反例として、以下のようなものを挙げている。

・弁護士が一人しかいないのに、24時間365日相談対応と表示されている  
・「LINEで相談」と表示されているにもかかわらず、実際には事務職員がLINEのメッセージを作成しており、弁護士が対応していない  
・他の詐欺事案で高額回収ができた事例をあたかも国際ロマンス詐欺事案で回収したもののように表示  

こうした注意喚起もあり、露骨な広告は減ってきたというが、一般の人が見極めるのはなかなか難しい。金田弁護士は「具体的にどういうふうに回収できるのか。実際に今までどれくらい回収できているのか、確認するのが大事。説明が嘘の場合もあるので、LINEのやりとりなどで説明内容を確認できるようにしておくと、後々着手金を返してもらえることに繋がる」という。

国際ロマンス詐欺は、個人ではなく組織的に行っている可能性も高い。相手はプロで、手を替え品を替えお金を引き出そうとしてくる。騙されないためにはどうすればいいのか。金田弁護士は「お金を振り込まない。投資の話に乗らない。それしかないと思います」と話している。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

プロフィール

金田 万作
金田 万作(かなだ まんさく)弁護士 笠井・金田法律事務所
第二東京弁護士会消費者問題対策委員会(電子情報部会・金融部会)に所属。投資被害やクレジット・リース関連など複数の消費者問題に関する弁護団・研究会に参加。ベネッセの情報漏えい事件では自ら原告となり訴訟提起するとともに弁護団も結成している。

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