静岡県牧之原市の住宅で1月16日夜、住人の40代女性が刺されて亡くなる事件があった。NHKなどの報道によると、母親を切り付けたとして、静岡県警は中学生の娘(13)を児童相談所に通告したという。
どのような経緯で事件が起きたのか、詳しいことはまだ明らかになっていないが、13歳が事件を起こした場合、刑事責任はどうなるのだろうか。澤井康生弁護士に聞いた。
●14歳未満の子どもは「一律に責任能力がないものとして扱われる」
——13歳が刑事事件を起こした場合、責任は問われますか。
14歳未満の子どもは、刑事未成年者として一律に責任能力がないものとして扱われます(刑法41条)。14歳未満は人格形成の途上にあることから、刑事政策的観点から責任能力が排除されるのです。
そのため、今回のような13歳を含む14歳未満の子どもが刑罰法令に触れる行為をした場合であっても一律に責任能力がないものとして扱われますので、刑事責任を問われることはありません。犯罪自体が成立しないので逮捕することもできません。
——刑事事件を起こした14歳未満の子どもは、その後どうなるのでしょうか。
14歳未満で刑罰法令に触れる行為をした者は触法少年として扱われます(少年法3条1項2号)。
警察は触法少年に対しては、捜査ではなく補導して事件の調査を行います。犯罪自体が成立しないので、捜査をすることができないためです。
警察は触法少年に対する調査を行ったら、児童相談所に通告・送致します。特に今回のようなケースは一定の重大犯罪(故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪)が問題となりますので、警察は必ず児童相談所に送致しなければなりません(少年法6条の6第1項)。
児童相談所は福祉的観点から少年の調査を行い、所長の判断により家庭裁判所の審判に付するのが適当と判断された場合には、今度は家庭裁判所に送致します(児童福祉法27条1項4号)。
送致を受けた家庭裁判所は調査、審判を行い、最終的には児童自立支援施設または児童養護施設に送致することになるものと思われます。