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黒川元検事長に罰金20万円で、賭け麻雀愛好家に激震…「とはなりません。そのまま賭けるでしょう」
写真はイメージです(beauty-box / PIXTA)

黒川元検事長に罰金20万円で、賭け麻雀愛好家に激震…「とはなりません。そのまま賭けるでしょう」

新聞記者らと賭け麻雀に興じていた黒川弘務・元東京高検検事長に対して、東京簡裁は先ごろ、罰金20万円の略式命令を出した(3月25日付)。

賭け麻雀が罪にあたるとハッキリ示されたわけで、賭け麻雀を楽しむ麻雀愛好家らはどう受け止めるのか。元プロ雀士の弁護士は、それでも「好きな人は賭け続ける。影響はない」とみる。

●テンピンでも摘発対象となる

黒川氏について、不起訴(起訴猶予)としていた東京地検だが、検察審査会による「起訴相当」との議決をうけて、再捜査した結果、単純賭博罪で略式起訴した。東京簡裁は同罪で罰金20万円の支払いを命じた(3月25日付)。

黒川氏らは「テンピン(1000点につき100円換算)」で賭けていたとされる。「上級国民のレート」ではなく、一般的にもこのレートで賭けることが普通とされる。

最高位戦日本プロ麻雀協会(北海道本部)所属のプロ雀士として、今年1月まで活動していた芳賀広健弁護士に、麻雀業界への影響について聞いた。

●賭ける人は賭け続けますよ

「そもそも、金額の多寡を問わず、1円であろうと、賭け麻雀が賭博罪にあたることは、今更言われなくとも当然のことです」

賭けるかどうかを問わず、麻雀の遊び方には、基本的に「フリー(雀荘で知らない人と卓を囲む)」と「セット(見知った仲間のみで遊ぶ)」がある。

「いわゆるセットであれば、よほど高額な金額を賭けていたり、暴力団など反社会的勢力が絡んだりしていない限りは、摘発されることはないというのが暗黙の了解だったように思います」

暗黙の了解もときには崩れる。黒川氏への罰金によって、賭け麻雀愛好家らも萎縮するのだろうか。

芳賀弁護士は首を振る。

「今回の罰金処分によって、雀荘が賭け麻雀を禁止する可能性は低く、現状は何も変わらないと思います。

また、残念ですが、雀愛好家が賭け麻雀をやめる可能性も高くないでしょう。

賭けなければ麻雀ではない、面白くないという意見も多いように思います。黒川氏の件にしても、たまたま摘発されただけで自分には関係ないというのが本音ではないでしょうか」

●賭け麻雀がなくならない理由は「生きるため」

麻雀業界に詳しい関係者も、賭け麻雀がなくならない理由を補足する。「少なくない麻雀プロが、雀荘の経営や、雀荘で働くことで生計を立てています。実際のところ、賭け麻雀を根絶すると、彼らの生活が成り立たなくなります」

賭け麻雀の締め付けを強くして、愛好家が離れていけば、業界全体が立ち行かなくなるというのだ。

画像はイメージです(bino / PIXTA) 画像はイメージです(bino / PIXTA)

●クリーン麻雀への転換も、「賭けるからおもしろい」意見根強く

麻雀=賭博のイメージはどうしても切り離せない。しかし、最近では、「Mリーグ」など賭けない麻雀や、ネット麻雀も盛り上がっている。

「個人的には麻雀業界の発展を願っています。業界全体として、クリーンな方向に転換できるかどうかが問われているのだろうと感じています。

私自身、競技麻雀にほんの少しだけ関わりましたが、高度な頭脳が要求されるゲームだと思います。特に、将棋やチェスと異なり、不確定要素が多いなかで、目に見える部分だけでなく、見えない部分までを分析し、リスクとリターンを考慮して勝負するかしないかを判断したり、捨て牌や点数状況等から他人の行動を予測したりする高度なゲームだと思っています。

ですので、お金を賭けなくても麻雀は楽しいです。実際、麻雀プロの中にも、麻雀業界の将来を考え、クリーンな方向に舵を切っている方は多くいらっしゃいます。黒川氏の件に危機感をもつ麻雀プロは少なからずいるはずです。ただ、麻雀はギャンブルとして発展したという経緯も否定できないので、簡単ではないでしょうね」(芳賀弁護士)

プロフィール

芳賀 広健
芳賀 広健(はが ひろかづ)弁護士 弁護士法人シティ総合法律事務所
札幌弁護士会所属。相続(家族信託等の生前対策から紛争になっている相続案件の対応)、中小企業の労務管理及びインターネット上での名誉毀損への対応に注力している。上がったことのある役満は「四暗刻」と「大三元」。好きな手役は「七対子」。

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