東京・上野の違法パチスロ店の責任者ら3人が、常習賭博罪の疑いで逮捕された。
報道によると、違法パチスロ店の責任者ら3人は7月7日、東京・上野のビルにある店舗に、違法なパチスロ機を設置して、客を相手に常習的な賭博をしていた疑いが持たれている。
ギャンブル性の高い「4号機」と呼ばれる違法なパチスロ機が設置されていたということだ。合法とされているパチスロ機とどう違うのだろうか。飛渡貴之弁護士に聞いた。
●かつて「合法」だった機械が「違法」となるワケ
「パチンコ店やパチスロ店は、法律上、『著しく客の射幸心をそそるおそれのある遊技機』を設置して、その営業を営んではならないとされています(風営法20条1項)。『著しく客の射幸心をそそるおそれのある』かどうかは、国家公安委員会規則で基準が定められています。
ですから、パチスロ店は、『著しく客の射幸心をそそるおそれのない遊技機』の設置だけが認められております。そして、これは原則として、指定認定機関『一般財団法人保安通信協会』の型式試験に合格した遊技機です(風営法20条5項)。
指定認定機関は、『遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則』などに基づいて、遊技機の性能を検定して合否を判断します。また、この規則による合格は、有効期限が3年となっています(同規則10条)。有効期限経過後に、ホールに設置するためには、再度型式試験を受けて合格する必要があります。
この規則はたびたび改正されていて、『射幸心をそそるおそれのある』という基準は厳しくなっています。そのため、有効期限が切れた3年後に再度型式試験を受けて合格できるとは限りません。したがって、かつて『合法』だったものが、現在では『違法』となっているのです」
●4号機は10年以上まえの機種
今回摘発された店舗は、4号機を置いていたということだ。
「『大花火』や『獣王』など、4号機は名機が多く、今のものとくらべると、射幸性も断然高い遊技機でした。ゲーム性もかなりすぐれていて、単純に面白い遊技機もたくさんありました。私個人も、4号機、特に『大花火』は、リーチ目を全部覚えたのではないかというくらい遊びました。
これら4号機は、規則改正前にすべりこんで型式試験を合格していたとしても、有効期限が切れて10年近く立つことになります。そのころと今では、規則が改正されていますので、4号機は、型式試験を再度受けても合格することはできません。したがって、4号機を設置すると、風営法20条1項違反になるということです。
また、違法パチスロ店であり(刑法8条の適用はない)、わざわざ『三点方式』を採用しているとは思えず、コインを直接現金に換金しているでしょうから、賭博にあたり、業として賭博場を営業していますから、常習性も認められ、常習賭博罪にあたります(刑法186条2項)」
●利用客も「賭博罪」にあたる可能性
今回、運営者が摘発されたという報道だが、利用客は罪に問われないのだろうか。
「報道によると、今回摘発された違法パチスロ店は、二重ドアで、カメラと目視によって、入退館が厳しく管理されていました。また、一般的に、4号機は設置できないことも知られています。
したがって、利用者も、違法パチスロ店であることは認識して、遊んでいると思われますから、賭博罪にあたります(刑法185条)。
ただし、利用客は、よほど悪質なことをしていなければ、比較的軽微として、あえて警察も動かないのではないでしょうか。摘発の際に遊んでいた人は、さすがに警察から聞き取りくらいはされているでしょうが、反省して素直に対応していれば、現行犯逮捕までされないと思われます」