自分の死亡届を市役所に提出したとして、茨城県の男性が3月28日、有印私文書偽造・同行使および電磁的公正証書原本不実記載未遂の疑いで、県警取手署に逮捕された。ネット上では「動機が気になる」として話題になっている。
●不審を抱いた市職員が通報した
取手署によると、男性は、自分が死亡したという内容のウソの死亡診断書と死亡届を偽造して、今年1月23日午後9時ごろ、茨城県の守谷市役所に提出。戸籍にウソの記録をさせようとした疑いが持たれている。
死亡届の記載(死亡診断書部分)に不備があったことから、不審を抱いた市職員が通報したことがきっかけで、発覚した。警察の取り調べに対して、男性は容疑を認めているという。だが、動機はまだ明らかになっていない。
●「死んだはずの人間になるのちょっと憧れるかも」
過去のニュースを調べてみると、亡くなった父や母など、家族の生存を装っていたというケースはよく見られるが、今回のように、自分の死亡届を提出したというのはみつからない。非常にレアなケースなのかもしれない。
一部ネット上では「死んだはずの人間になるのちょっと憧れるかも」「星新一みたいな話やな」「ロマンがあってええな」といった声もあがっている。西口竜司弁護士は「何ともおかしな事件ですね・・・」と呆れながら、次のように解説する。
「死亡届をご覧になった方はわかるかもしれませんが、死亡診断書と1枚のセットです。左側は、届出人が記入する欄になっており、右側は医者が記入する死亡診断書になっています。今回は、ウソの死亡診断書を勝手につくったから、有印私文書偽造罪に問われたのでしょう」(西口弁護士)
ここでいう「偽造」とは、作成名義人と作成者が一致しない文書をつくることだ。
●れっきとした犯罪にあたる
こうしてつくったニセの死亡届を市役所に提出する行為も罪にあたるのか。
「ニセの文書を真正なものとして利用(行使)したといえますので、偽造私文書行使罪が成立します。そして、今回は未遂におわりましたが、役所にウソ(不実の記載)の文書(戸籍簿)をつくらせる行為も処罰されます。これが公正証書原本不実記載罪です」(西口弁護士)
たとえ「ロマン」や「SFぽさ」を感じさせたとしても、れっきとした犯罪にあたる行為だったというわけだ。ぜったいに真似しないようにしてほしい。