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甲子園で「ドローン」飛ばして注意された阪神ゴメス選手・・・法律違反ではないか?
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甲子園で「ドローン」飛ばして注意された阪神ゴメス選手・・・法律違反ではないか?

試合前の練習中に、小型の無人飛行機「ドローン」を飛ばしたとして、プロ野球・阪神のマウロ・ゴメス選手が球団から厳重注意処分を受けるという騒動が起きた。

報道によると、ゴメス選手は9月2日の午後、甲子園球場のグランドで約10分間にわたってドローンを飛ばした。ドローンは選手やコーチの近くを飛び回り、最後は右翼フェンスにぶつかって落ちた。球場側が外部からの侵入を疑って、操縦者を探していたところ、ゴメス選手だとわかったという。

当時、球場内では、試合前のフリー打撃の練習がおこなわれていた。まだ観客は入っておらず、ケガ人もでなかった。球団関係者から注意を受けて、ゴメス選手は「スミマセンでした」と謝ったそうだ。

ドローンをめぐっては、官邸屋上に墜落させた男性が威力業務妨害罪で逮捕されるなど、事件や事故があいついでいる。9月4日には、国の許可なしに住宅密集地などでドローンを飛行させることを禁止する「改正航空法」が成立した。今回のゴメス選手のケースは、何らかの罪に問われないのだろうか。ドローンをめぐる法律にくわしい小林正啓弁護士に聞いた。

●「ゴメス選手が罪に問われることはない」

「結論から言えば、罪に問われることはありません」

小林弁護士はこのように述べる。どうして、そういえるのだろうか。

「ドローンは現行の航空法上、『模型航空機』に分類されています。

この模型飛行機について禁止されているのは、地表・水面から250メートル以上の高さの飛行や、航路内の地表・水面から150メートル以上の高さの飛行、そして、空港周辺での飛行です(空港によって異なりますが、半径おおむね4キロメートル程度)。

これらに違反した場合、50万円以下の罰金が科されます(航空法99条の2、航空法施行規則209条の3および4など)。

しかし、今回のケースでは、ドローンはそれほど高く飛んでいなかったと思われます。また、甲子園球場は『空港周辺』にもあたりません。航空法違反には問われないでしょう」

●9月4日に成立した「改正航空法」では・・・?

その航空法は9月4日、ドローンの飛行を規制するために改正された。改正航空法はまだ施行されていないが、仮に施行後だったらアウトだったのだろうか?

「9月4日に成立した改正航空法では、ドローンを『無人航空機』と位置づけ、『人または家屋の密集している地域の上空』などを飛行禁止空域としています。甲子園の上空が、この飛行禁止空域にあたるかどうかがポイントです」

弁護士ドットコムが国交省に取材したところ、甲子園の上空が飛行禁止空域になるかどうかはまだ決まっていないということだった。飛行禁止空域は今後、国土交通省令で具体的に指定されることになるそうだ。

航空法以外にも、もう一つ別の議員立法で提出された審議中の法案があるが、そちらはどうだろうか?

「そちらの法案は、国会議事堂や首相官邸、その他の国の重要施設上空などでの飛行を禁止するものですから、今回は関係ありません」

●「威力業務妨害罪」は?

今年4月にドローンを首相官邸屋上に墜落させた男性は、威力業務妨害罪で逮捕・起訴された。この犯罪は成立しないのだろうか?

「この罪が成立するためには、実際に業務が妨害されるまでは必要ないけれども、そのおそれが生じることが必要とされています。

ですから、試合中に球場内を飛ばせば、威力業務妨害罪に問われる可能性があります。

しかし、今回は練習中ですから、この罪が成立することはありません。ドローンのせいで、ほかの選手の練習が多少邪魔されたことはあったかもしれませんが、いたずらの範囲内であり、刑事罰を科すほどの問題ではありません。

ただ、ゴメス選手は練習時間中、野球の練習に専念する契約上の義務を負います。仮に休憩時間だったとしても、練習場所でドローンを飛ばすことは、球団との契約違反にあたるでしょう。球団から厳重注意を受けるのは当然ですが、刑罰を受けるほどの違法行為ではありません」

小林弁護士はこのように述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

プロフィール

小林 正啓
小林 正啓(こばやし まさひろ)弁護士 花水木法律事務所
1992年弁護士登録。ヒューマノイドロボットの安全性の問題と、ネットワークロボットや防犯カメラ・監視カメラとプライバシー権との調整問題に取り組む。

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