京都市の市立小学校に通う6年生の男児(12)が、学校の教師に「大麻を吸った」と話した問題が波紋を広げている。
報道によると、男児は京都府警の調べに対し、留守中の兄(17)の部屋で大麻を見つけ、「9月初旬から4回、パイプにつめて吸った」などと話している。兄は大麻取締法違反(所持)の容疑ですでに逮捕されている。
学校側に男児がタバコを吸っているという情報が寄せられ、教師が男児と面談したところ、喫煙の事実を認めたうえで、「大麻も吸ったことがある」と話したことから発覚した。12歳の場合、罪に問われる可能性はあるのだろうか。刑事事件を専門とする星野学弁護士に聞いた。
●「おとがめなし」というわけではない
「14歳未満の子どもを『刑事未成年者』と呼ぶことがあります。これは、刑法41条が『14歳に満たない者の行為は、罰しない』と定めているためです。したがって、本件のように12歳の児童が犯罪を犯したとしても、刑法による処罰はできません。また、逮捕および逮捕手続にもとづく身柄拘束という手続もとられません」
星野弁護士はこのように述べる。刑事未成年であれば、何をしても「おとがめなし」ということだろうか。
「そうではありません。少年法による手続が考えられます。少年法は、14歳に満たない年齢であっても、刑罰法令に触れる行為をした少年(触法少年)について、家庭裁判所の審判に付することができると定めています。
とはいえ、いきなり家庭裁判所の審判に付されるわけではありません。
刑事未成年者が処罰されない理由として、児童の判断能力が不十分であり、司法手続によって刑罰を科すよりも、行政手続によって児童福祉的な教育・指導を行うのが妥当だという考え方があるからです。
そのため、刑事未成年者が罪を犯した場合、通常は警察官などが児童福祉法にもとづき、まず児童相談所に通告することになります」
●家庭裁判所に送致されるケースとは?
児童相談所では、どんな対応をするのだろうか。
「児童相談所の対応はさまざまですが、児童や保護者に対して、教え諭したり、誓約書を提出させたり、児童福祉司等による指導を行ったりしています。
また、きちんとした保護者がいないようなときは、必要に応じて、児童を児童自立支援施設などに入所させたり、場合によっては、家庭裁判所に送致したりすることもあります。
家庭裁判所に送致されるのは、殺人などの重大事件で、事実関係や事件の背景を明らかにする必要があると考えられるような場合です。たとえば、2004年に長崎県佐世保市で起きた小学校6年の女児による同級生殺害事件では、女児は、児童相談所から家庭裁判所に送致されました。
刑事未成年の児童による犯罪は、児童自身が自分の行為が悪いことかどうか良くわかっていない場合もありますので、児童の責任を追及するよりも、犯罪を犯した原因を調査し、その原因を取り除くことが必要不可欠だと思います」
星野弁護士はこのように述べていた。