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亡き父が遺した「1000万円」の借金に青ざめる家族…相続放棄すれば払わずに済む?
写真はイメージです(yamasan / PIXTA)

亡き父が遺した「1000万円」の借金に青ざめる家族…相続放棄すれば払わずに済む?

父親が亡くなった後、家族が知らない1000万円の借金が発覚したーー。弁護士ドットコムに、このような相談が寄せられています。

相談者の父親は自営業を営んでおり、3カ月前に他界しました。ところが、最近になって、父親に借金が1000万ほどあることが発覚。必要な資材や道具などを購入するために借金を積み重ねていたようですが、家族は誰も借金のことを知らなかったといいます。

知人には「相続放棄すればいい」とアドバイスを受けたものの、1人が放棄しても、別の相続人に引き継がれるなどの話も聞き、相談者はどうすればよいか頭を抱えています。家族構成は、父、母、相談者(長男)、弟、妹です。

亡くなった父親の借金を、残された家族は返さなければいけないのでしょうか。小澤和彦弁護士の解説をお届けします。

●相続放棄は亡くなったことを知ってから「3カ月以内」に

ーー相続放棄をするには、どうすればよいのでしょうか。

民法上、相続を放棄することができる期間というのは、「自分について相続があったことを知った日」、今回のケースでいうと、父が他界したことを知った日から3カ月です。逆に言えば、その期間に相続放棄をしなければ、相続したとみなされます。

相続放棄をするためには、裁判所に「相続放棄申述書」という書類を提出して、相続放棄の意思表示をしなければなりません。

ーー相談者が相続放棄した場合、ほかの家族はどうなりますか。

民法には、相続を受ける人の優先順位が定められています。今回のケースでいうと、第1順位で相続を受けるのは、母、相談者、弟、妹です。

たとえば、相談者が相続を放棄すると、相続をするのは母、弟、妹です。第1順位の相続人が全員相続を放棄をすると、第2順位の相続人が相続することになります。相談者からみると、父方の祖父母がこれにあたります。

第2順位の相続人は、第1順位の相続人が相続放棄したことを知った日から3カ月以内に相続放棄をしなければなりません。できれば、自分が相続放棄をするときには、他の相続人や次順位の相続人に告知しておいた方がよいでしょう。

●「落ち着いてプラスマイナスを調査した方がよい」

ーー今回のように、亡くなった家族に借金がみつかった場合、どのように対応すればよいでしょうか。

そもそも、相続債務(父の借金)があったとしても、ほかにも相続財産があって、相続債務を支払っても余剰がでるようなら、相続した方が経済的にはプラスになります。落ち着いてプラスマイナスを調査した方がよいでしょう。

なお、相続放棄期間は、相続が発生した事実を知ったとき(父の死)から3カ月間ですが、その期間を過ぎても例外的に相続放棄が認められる場合があります。

たとえば、思いもよらない相続債務が発覚し、その時点で、相続財産に手をつけていないようなケースです。

亡くなった家族に借金がみつかったからといって、慌てずに専門家に相談してみましょう。

(弁護士ドットコムライフ)

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プロフィール

小澤 和彦
小澤 和彦(おざわ かずひこ)弁護士 弁護士法人東京多摩法律事務所
第二東京弁護士会多摩支部 両性の平等委員会委員、東京都西東京市男女平等参画推進委員会副委員長。

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