遺産相続の解決事例
  • 遺産分割
  • 遺留分侵害額請求(遺留分減殺請求)

【数次相続×遺留分】相手方弁護士の相続分の誤りを正し、複雑な相続を訴訟なく円満解決した事例

50代 男性
この事例の依頼主 50代 男性

相談前の状況 依頼者様のお母様が亡くなられた後、遺産分割が済まないうちにお父様も続けて他界され、いわゆる「数次相続」の状態となったご相談でした。お父様は公正証書遺言により、不動産・預貯金を含む全財産を長男である依頼者様に相続させる旨を遺しており、他の相続人お二人から遺留分侵害額の請求も見込まれる状況にありました。
相手方お二人には弁護士が就いており、お母様の遺産分割とお父様の遺留分侵害額請求という二つの相続問題を同時並行で解決する必要がある、複雑な事案でした。

解決への流れ ▼ 当初の相続分の誤りを指摘
ご相談当初、相手方の代理人弁護士からは、お母様の相続について各相続人の相続分を一律「3分の1」とする前提で協議を進めたいとの申入れがありました。
しかし本件は、お母様の死亡後にお父様が亡くなった数次相続であり、お母様の遺産についてはまずお父様が法定相続分である2分の1を相続し、そのお父様の遺産(お母様から相続した分を含む)を遺言によって依頼者様が承継する構造にあります。したがって、お母様の相続における正しい相続分は、依頼者様が3分の2、相手方お二人が各6分の1となります。
当職は、この相続分の考え方を法的根拠とともに整理して相手方に指摘し、相手方の代理人もこれを受けて各6分の1を前提とした協議へと修正されました。出発点となる相続分を正しく確定させたことが、その後の交渉全体の土台となりました。
▼ 争点となったポイント
その後、相手方からは主に次の3点の主張がなされました。
• 葬儀費用の取扱い … 「葬儀費用は喪主が負担すべきもので、遺産から控除することには同意できない」との主張
• 寄与分(介護)の主張 … 依頼者様が遠方に単身赴任していた間、生前のお母様の日常生活の世話や介護(買物、通院の送迎、施設入所手続、服薬管理、掃除・洗濯等)を担っていたとして、扶養義務の範囲を超える特別の寄与があると主張
• 不動産の評価方法 … 固定資産税評価額は相続における評価として適切でないとして、別途の不動産価格査定に基づく価額を主張
▼ 当職の対応と解決
まず、両相続の財産関係を正確に把握するため、各金融機関の残高証明書、不動産登記事項証明書、固定資産評価証明書等を精査し、双方の遺産目録を整理しました。生前に払い戻された金銭についても、相続財産への組戻しを含めて検討しました。
そのうえで、相手方の寄与分の主張については、介護の実態や裁判例を踏まえて金額の妥当性を丁寧に検証し、依頼者様のご意向を確認しながら交渉を重ねました。最終的に、お母様の相続では相手方お二人の相続分(各6分の1)に一定額を加算する形で、お父様の遺留分侵害額についても具体的な金額を算定し、双方が納得できる着地点を見出しました。
その結果、訴訟や調停に移行することなく、遺産分割協議書および遺留分侵害額請求に関する合意書の締結という形で円満に解決することができました。支払方法や遅延損害金の定めも書面に明記し、後日の紛争を防ぐ内容としています。

菊田 利昭 弁護士 菊田 利昭 弁護士からのコメント 数次相続と遺留分が絡む事案では、相続分の計算そのものが複雑になり、本件のように相手方(弁護士)でさえ当初は相続分を誤って把握していることも珍しくありません。出発点となる相続分を正確に確定させたうえで、各争点について法的な裏付けと資料に基づいた交渉を行うことで、相手方の理解を得ながら、依頼者様の負担を最小限に抑えた解決を実現しました。相続でお悩みの方は、早期のご相談により、より柔軟かつ有利な解決が可能になります。

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