所有者及び占有者の双方の先代が売買契約した土地の時効取得
相談前の状況
『そろそろ子どもに自己所有の財産を引き継ぐ時期が近づいているので財産を整理していたところ,自分が倉庫を利用して使っている土地について.他者名義(所有者名義)であることがわかった。自分が使っている土地であるから,当然自分の所有だと思っていた。自分の財産として,子どもたちに引き継ぐことができないか。』
との相談をされたことから始まりました。
解決への流れ
この土地は,登記簿上,他人名義,すなわち,登記簿上の名義人が所有者であることは疑いありません。一方,相談者が倉庫として使用している,つまり占有者であることも間違いありません。そして,占有者(相談者)は,自分の所有物だと信じて使っていました。このような場合に問題になるのは,時効取得が認められるか否かです。
経緯を確認すると
①所有者の先代と占有者(相談者)の先代が,この土地の売買契約をした。
②占有者の先代は,この土地の固定資産税を払い,倉庫を建てて使い始めた。ただし,この土地の所有権の登記移転はしなかった。
③占有者の先代は,既に20年以上前に亡くなっており,占有者が相続した。
④占有者は,役所に赴き,自分が固定資産税を支払う手続を行い,以後,20年以上にわたって,固定資産税を払い,倉庫のある土地として利用することを継続した。
ことが確認できました。
そこで私は,所有の意思があることは固定資産税の支払の継続などから,土地を占有していることは倉庫を利用していることなどから,そして20年以上が経過していること(所有者でないことを知らなかった【善意】ことに過失があった【有過失】としても,20年が経過すれば時効取得を主張できます。)などから,時効取得の要件を満たしていると判断しました。
そこで,訴訟を提起して時効取得を訴え,相談者(占有者)の時効取得が認められる(したがって,相談者の所有が認められる)判決を得ることができました。
竹本 真紀 弁護士からのコメント
このような案件では,こちらだけではなく,相手方も相続が発生している場合があります。実際,この土地も多数の方の共有名義とされていました。時効取得で所有権を有していると訴える以上,共有者の全てを相手として訴訟提起しなければなりません。この点も不安になるケースではありました。
もっとも,本件では淡々と進むことになり,当方の所有の意思や占有継続の状態が確認される程度で進行することができたのでよかったです。
相談者も,無事にお子様に引き継げることが確定して,とても安心したようでした。
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