長船 友紀 弁護士
そうして,私が相手方である長女と交渉することになったのですが,交渉を進めていくと,遺言があることが分かりました。そして,相手方が言うには,その遺言には,全ての財産を相手方にあげると書いてあるとのことでした。遺言は自筆証書遺言であり,裁判所での検認が必要なため,私も代理人として検認の手続きにたち会いました。そうしたところ,確かに,相手方の言う通り,全ての財産を相手方にあげるという内容になっていました。もっとも,仮にその遺言通りに執行されたとしても,孫が何ももらえないわけではなく,法律が用意した最低限の保証として遺留分という権利が残されています。しかし,遺留分であれば,法定相続分2分の1の半分である4分の1しか取得できません。また,相手方は,不動産をもらっても困るという反応を示していました。そこで,私は,すぐに売却できる先を探し,現金にすぐに変えることができることを説得材料に本来取得できる4分の1から少しでも上積みできないか交渉したところ,現金が即座に手に入るというお話しは相手方にとっても大変魅力的な話しだったようで,相手方に全部あげるという遺言があるにもかかわらず,法定相続分の2分の1をあげるという遺産分割を行うことができました。この事例を通じて,私が皆様方にお伝えしたいのは,相続人がお子様やお孫さんである場合,全財産をそのうちの一人に相続させるという遺言を作成しても,遺留分という権利が他の相続人にも残されているため,死後の紛争を防止できないということです。死後の紛争を防止するためには,弁護士にご相談のうえ,遺留分を考慮した遺言を作成しておく必要があります。
交渉中に遺言が見つかったケース(法人取扱)の
続きを読む