原口 薫 弁護士 インタビュー
弁護士を目指したきっかけ
きっかけは二度あります。
一度目は高校時代です。当時は東京ランク2位の卓球選手で、「打倒中国」を掲げて練習に励んでいました。しかし、腰を怪我したことでドクターストップの憂き目に会い、卓球で生きていくことが難しくなりました。
将来を考え直している最中、高校で実施された適正調査で医者や法曹に適していることが分かり、当時より関心の高かった法曹を志すようになりました。
二度目のきっかけは、修習生時代です。司法試験勉強中には、刑事系の科目が強く、私自身も関心が高い分野だったのですが、修習中、現実の厳しさを実感し、検察官からは気持ちが遠ざかりました。
そんな時、たまたま友人に誘われた国際交流の集まりで、途上国からの留学生たちと話をする中で、「先進国からの投融資があれば、途上国はもっと豊かになれる」という切なる思いを聞き、そのような発展を助ける自らの姿を思い描いたのです。
関心のある分野
発展途上国向けの融資に関する分野に関心があります。
シカゴ大学のロースクールを卒業し、ニューヨーク州弁護士資格を取得後、ラテンアメリカ向けの融資を行う事務所に在籍し、世界最高峰の水準で融資の業務を展開することが出来ました。
日本に拠点を移した後も、同様の融資業務に取り組み、国際機関での円借款にも関わりました。
しかし、発展途上国への融資は大変なリスクを背負うものです。そのリスクに対して強硬策をとれるアメリカ、かつての植民地支配の残滓として法制度を共有しているイギリス、この2国が発展途上国への融資の分野を独占している状況にある中、日本において、それらの業務を最前線で携わっていく事にはやはり限界があります。
このような背景もあり、現在は発展途上国融資からは離れてはおりますが、今でも関心は強いです。
取り組んできた事例
日本の「証券化」の創成期を築きました。証券化の黎明期にあっては人材が渇望されており、発展途上国への融資の経験や経済への知識が買われて、関わることになったのです。海外とも協力しながら新しいものを開発する、極めて多忙な仕事でした。消費者ローンの開発、及びその後続の制度も開発するなどし て、証券化の分野で活動しました。
独立した後は、事務所経営の維持も求められますから、以前に比べれば大きな案件を扱うことは減りました。現在では、企業法務のほか、アメリカやフランスをはじめとする在日外国大使館の顧問として、個人訴訟や刑事事件にも積極的に携わっており、幅広く業務を行っています。
新しい分野を開拓するときの勉強法
いい弁護士になる条件は「法律」「マーケットインテリジェント」「コモンセンス」と言われています。
新しい分野での仕事は法律も判例もありません。他の国、例えばアメリカの法律などをどのように日本に組み入れるか、という思考が主です。司法試験の勉強は、裁判を行うために必要な知識の取得が中心ですから、新しい分野において司法試験の知識は活用できません。
私自身、新しい分野での仕事を進めるにあたって、様々な国の、様々な分野の専門家と議論をすることが大切だと考えています。そして、より充実した議論を行うためには、語学力やあらゆる分野での基礎的な知識も重要です。
このような話に留まらず、弁護士は、様々な分野で事象を法律に当てはめるために常に勉強が必要です。勉強が好きでない人は弁護士には向いていません。私自身、勉強への労力を惜しむ気持ちはありません。仕事や必要な知識の習得に集中するあまり、気がつくと空が白み始めていることも間々あるのですが、そんな時は、疲れよりも達成感を抱きます。きっと、「朝起きるのは嫌いでも、朝を迎えるのは好き」なんですね。
印象に残っている事例
本当に沢山あるのですが、現在敢えて一つ挙げるならば、ある非常に優れた訴訟弁護士に勝てたことですね。仕事に取り組む姿勢など非常に尊敬している先生で、そのような方との訴訟は楽しくもあります。
仕事の中で嬉しかったこと
裁判に勝つこと、そして大きな取引を期間内にまとめることですね。取引はタイミングが大切です。期間内に仕事をまとめ上げることは、簡単ではありませんが、コツは仕事に期限をつけてとにかく前に進めていくことですね。
その他では、やはり職員が幸せでいてくれることです。
弁護士になって大変だと感じること
大きな取引では大きなプレッシャーを負うことになります。限られている時間の中で、もう少し調べれば分かるものの、それでもすぐに結論は出さなくて はならない、そんな状況です。そこで諦めてしまうと、クライアントに大きな損害を負わせてしまう可能性があります。慎重さゆえの過労と弁護過誤の狭間で活 動していますね。
その他に、「勝つ」という強い気持ちで事務所全体を鼓舞して働きつめ、それでも負けてしまえば、そのときは辛いものです。
休日の過ごし方
休日はないです。365日、24時間仕事のことを考えています。
ただ、スポーツは好きですから週末にクライアントとテニスを楽しむこともあります。また、子供と触れ合う時間は大切にしています。
弁護士としての信条・ポリシー
HighestのQualityをTimelyに提供してお客さんに驚き、喜んでいただくことです。
依頼者に対して気をつけていること
職員に注意されて、言葉づかい、髪、身だしなみは気をつけるようにしています。
プロフェッショナルとしては、クライアントとよく話し合い、信頼関係を築く中で、我々に求めている事を見抜き、それに応えることです。経済的合理性を求めているのか、あるいはもっと感情的なものを求めているのか、それぞれに応じて方法も変わってきます。
今後の弁護士業界の動向
400人しか受からないような時代では、受かれば官軍でした。私が、シカゴ大学のロースクールに留学する頃には、「司法試験受かったのになんで外国に行くの?」と怪訝に思われたほどです。
これから弁護士が増えれば、受かっただけでは不十分で、その後の競争が激しくなります。仕事を見つけていく、依頼者を能動的に獲得していく、そのような動きが増えていくでしょうし求められるでしょう。
制度について述べるならば、数を増やすことは必要であるにせよ、現在は弁護士に対しての受け皿の用意が間に合っていない状況です。だからと言って、即時開業などは現実的ではなく、少なくとも5年間は先輩弁護士のもとで実務を学ぶ必要があります。そういった意味で、とても難しい時代にあると考えています。
今後のビジョン
いろんなことをやりたいです。事務所としては10人、ブティックを目指します。
具体的には、留学生向けのファンドや、少年への矯正にも興味があります。
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