アメフトで鍛えた無尽蔵のスタミナで、スタートアップを中心に企業の活動を全力で支援
アメフトを続けながら目指した弁護士の道
ーー弁護士を目指したきっかけを教えてください。
自営業を営む両親の姿を見て育ち、自分の力で道を切り開く生き方をしたいと考えていました。そうした中で、進学した大学が法曹育成に力を注いでおり、多くの学生が司法試験を目指していたことから、弁護士の道に進むことを意識するようになりました。
司法試験を受験しようと決意したのは、大学4年生に差し掛かった頃です。弁護士の仕事は、依頼者の人生に関わる重責ある仕事です。弁護士の一言が、依頼者の意思決定を左右し、その後の人生に影響を与えることもあります。そのような責任ある仕事で、自分の能力を最大限に発揮したい。弁護士として関わる人たちの支えになり、社会に貢献できる存在となりたいと思い、弁護士を目指すことを決めました。
ーー学生時代はどのように過ごしていましたか。
大学では、アメリカンフットボール部に所属していました。1つのことに本気で向き合ったときに、自分がどれだけ成長できるか試してみたいと考え、大学の4年間は全力でアメフトに取り組むと決めました。アメフトを選んだ理由は、団体競技をやりたかったことと、スポーツに本気で打ち込める機会は学生の間だけだと考えたからです。
アメフトは大学の4年間で完全燃焼するつもりでしたが、現実はそうはいきませんでした。大学時代、日本一になれなかったことが心残りで、ロースクールに進学してからもアメフトへの未練を断ち切れませんでした。
ロースクール1年目はアメフトへの気持ちを抑えていたものの、社会人リーグのチームに誘われたことをきっかけにアメフトを再開し、平日はロースクールで勉強して、週末はアメフトのチームに参加する生活を送るようになりました。
忙しい毎日でしたが、アメフトと勉強を両立することで、かえって勉強に集中できるようになったと思います。アメフトへの情熱が勉強の邪魔になることなく、両方の活動を効率的におこなうことで、無事に司法試験に合格することができました。
ーー司法試験に合格してからもアメフトは続けられたんですか?
2019年シーズンまでの約9年間、弁護士の活動と並行してXリーグ(日本社会人アメリカンフットボールリーグ)の選手として活動していました。ロースクール時代も加えると、Xリーグでプレイした期間は12年になります。
弁護士としての道を進みながらも選手を続けた理由は、アメフトへの情熱がまったく冷めなかったからだと思います。アメフトは体を酷使するスポーツなので、正直なところ、長く続けるのは難しいと予想していました。短い選手生命だからこそ、体が動く限りプレイしたいと思いながら続けた結果、12年も現役を続けることができました。
現役時代は、公式戦を休むことなくレギュラーメンバーとしてプレイしました。アメフトは自己実現の場でもあり、自分の能力を発揮し、評価される場でもありました。自分がイメージした通りにプレイできたときの達成感や、チームで勝利を共有する喜びは、かけがいのないものでした。
法務機能のアウトソーシングで企業のニーズに応える
ーー注力分野を教えてください。
Authense法律事務所の企業法務チームとして力を入れているのが、法務機能のアウトソーシングサービスです。
企業において法務職の需要が増大している一方で、適切なスキルと素養を持った人材が不足しているため、採用の難しさが増しています。このような法務のリソース不足に直面している企業に対して、法務業務を包括的にサポートするサービスを提供しています。
具体的には、契約審査や労務管理、社内規定の整備から日常的な法律相談まで、幅広い業務に対応しています。社内の法務部で2週間を要していた契約審査が、私たちのサービスを利用することで効率化が図れ、わずか4日で完了したと喜びの声をいただいたこともあります。
法務部門の業務を円滑に進めることは、会社の成長を止めることなく進展させるための重要な要素です。私たちのサービスが企業の発展を支える一翼を担えるよう、積極的に取り組んでいます。
ーー得意とする分野を教えてください。
役員の退任・退職に関する問題や、スタートアップ企業の支援を得意としています。
役員の退任や退職に関しては、企業が役員に対して退職を求める際に、円滑な交渉や手続きを進めるための役割を果たしています。役員の退職は、しばしば株式に関連した問題が絡むため、一般社員の退職以上に慎重さを要します。そのため、丁寧なアプローチで交渉を進めるよう心がけています。
退職が本人にとって有益な選択である場合もあります。厳しい立場で組織に残り続けることは、社内で冷遇されたりなどデメリットも多いはずです。それよりも、新たなステージに進むほうが、長期的な視野で見た場合にメリットがあるのではないかと思います。そのように、ポジティブな側面にスポットを当て、退職を前向きに捉えてもらうことを意識して、コミュニケーションを取るように努めています。
企業のスタートアップは、弁護士としてのキャリア初期から携わる機会が多くありました。創業から10年以内に上場した企業のスタートアップに関わった経験もあります。企業の成長とともに私自身の成長を感じることができるため、非常にやりがいを感じています。
ーー仕事をする上で大切にされていることを教えてください。
自分自身がクライアントとなった場合を想像し、自分が受けたいと思うサポートや納得できるサービスを提供するよう心がけています。
また、弁護士の業務は非常に多岐にわたる上に、際限がありません。どこまでサポートすれば良いのかといった明確な基準は存在しませんので、自分がクライアントの立場だった場合に求めるレベルを基準として、価値を感じるラインまで徹底的にサポートするよう努めています。
ーーこれまでの活動で印象に残っているエピソードを教えてください。
初めて国選弁護人を務めた刑事事件が印象に残っています。この事件では、大麻所持で逮捕された依頼者の弁護を担当しました。状況的に起訴は避けられないと思いましたが、最初の接見で依頼者に話を聞いたときに、警察の捜査に違法行為があることに気付きました。
逮捕当日、警察は依頼者を5時間以上にわたって現場に留めていました。この5時間以上の留め置きは、任意捜査の許容範囲を超えていると考えられます。同時に、このような捜査で得られた証拠は違法収集証拠となる可能性があると考えました。
違法捜査を主張するためには、証拠が必要でした。私は依頼者が逮捕されたクラブで聞き込み調査をおこなったり、当日のイベントに出演していたDJに話を聞くために地方のクラブに赴いたりして、情報を集める努力をしました。その結果、証拠となりそうな録画映像を見つけることができました。また、類似の判例も見つかり、資料として裁判所に提出しました。
努力の結果、依頼者は不起訴となりました。もし、最初の段階で見通しが厳しいと判断し、形式的な手続きを進めていたら、依頼者は起訴されていたと思います。この経験から、依頼者のために可能な限り努力すること、見通しが厳しくてもトライすることの大切さを学びました。私にとって重要な教訓をもたらしてくれた事件です。
弁護士は立ち止まっている人の背中を押す仕事
ーー休日の過ごし方を教えてください。
アメフトの選手だった頃は、土日に練習や試合をおこなっていたため、休みがほとんどありませんでした。そのため、引退した2020年に、土日をどうやって過ごしたら良いのかわからないという問題に直面しました(笑)。
ですが、ちょうど子どもが生まれた時期だったので、現役を退いてからは子どもと過ごすことが多いです。アメフトのシーズン中であれば試合の観戦にも行きますし、インターネット配信で試合の解説を務めることもあります。引退したあとも、アメフトに関わることができるのは幸せなことだと感じています。
ーー今後の展望をお聞かせください。
当事務所が属するAuthenseグループは、法律事務所と社会保険労務士法人のほかに、新たに税理士法人と弁理士法人を加え、資格の垣根を超えた幅広いサービスをワンストップで提供できる体制を整えました。
クライアントに対して法律に関する包括的なサービスを提供するとともに、他の分野の専門家との連携を通じて、より幅広いサービス体験を提供することに努めていきます。また、ライセンスの垣根だけでなく、国境を越えた法律ニーズに応えるために韓国の法律事務所と提携するなど、今後も多様なサービスを展開していく予定です。
ーー最後に、法律トラブルを抱えている方にメッセージをお願いします。
紛争に巻き込まれた方、あるいは新しいことにチャレンジしようとしている方、さまざまな方がこのページを見てくださっていると思いますが、弁護士の仕事というのは、困難な局面に対峙している方の背中を押す仕事であると考えています。「あなたが前を向いて進んでいけるように」との思いで取り組みますので、ご縁をいただければとても光栄です。