持田 秀樹 弁護士 インタビュー
弁護士を目指したきっかけ
高い志をもって司法試験の受験を開始した・・・わけではありません。
私は高校卒業後、就職し、夜学に通いました。ちょうど、夜学を卒業する年に、仕事を辞めようかと思ったことがありました。辞めたら何をしようかと考えているときに、大学の生協で手にしたのが、司法試験予備校のパンフレットでした。若かったこともあり、「どうせならいちばん難しい試験に挑戦してみるか。」と思い、受験を決意しました。若かったこともあり、今から考えるといささか無謀だったかとも思います。合格までに8年かかってしまいました。最初から8年かかると分かっていれば、おそらく受験しなかったでしょう。
仕事の方はというと、結局、研修所に入所するまで続けました。「食べていくのに困らない」という環境にあったために、受験を続けていくことができたのかとも思っています。
印象に残っている事例
苦労した事件はどの事件も印象に残っていますが、民事でも、刑事でも、負けた事件の方が印象に残っているように思います。
そのうちの1つをご紹介します。当番弁護士から国選弁護を受任した刑事事件です。
事件自体は軽微な傷害事件ですが、被疑者は最初から全面否認でした。トラブルになったけれども暴力はふるっていないと。事件後、「被害者」とされている者から、被疑者に対して執拗に示談金の請求があり、事件をでっち上げた不当要求行為であると思われました。もちろん示談なんかしてません。
第一審では、傷害の起訴に対して、暴行の認定がなされました。上訴しましたが、高裁、最高裁でも覆らず、有罪が確定してしまいました。有罪の確定を伝えたときの被告人の悔しそうな震える声は今でも忘れられません。
最近は、刑事事件を受任することはほとんどなくなってしまいましたが、この事件は、私も悔しい思いをしましたので、忘れられない事件のひとつです。
仕事の中で嬉しかったこと
依頼者と心が通じたときは嬉しいですね。少年審判の後、身柄を解放された少年から「先生のことは一生忘れません」と電話がかかってきたときは、仕事をした甲斐があったとおもいました。
ご依頼を受けた事件が終わって何年も経ってからご連絡をいただくことや、かつて事件の相手方であった当事者などから相談を受けるのもうれしいものです。これらは、事件を通じて信頼を得るに至ったということですから。
弁護士としての信条・ポリシー
弁護士が法律の専門家として、その知識、能力を駆使して、紛争を早期に適切に解決し、依頼者の権利の実現を図ることは当然のことです。しかし、証拠が不足しているなどの事情により、ご依頼者が望むような事件解決の見通しが立たないこともあります。そのような場合でも、不利なことは不利だと率直に伝え、いくつかの選択肢を示して、紛争解決の道筋をお示しします。そのような場合に、安易に景気のいいことを言う弁護士もいるようですが、そのような安請け合いはしないようにしています。
また、弁護士のできることは、依頼者が直面する問題の1つの側面における解決にすぎず、たとえ訴訟に勝っても、実は、その人の抱える問題の本質的な解決に至っていない場合も多いのだと自分に言い聞かせています。
依頼者に対して気をつけていること
刑事事件を含め、暴力団関係者などからの依頼は受けないようにしています(国選弁護は除く)。
暴力団関係者などからの依頼を受けることになると、どうしても一定数はその筋の人が依頼者となってしまいます。そして、そのような依頼者が事務所に出入りするようになると、事務所の雰囲気も悪くなりますし、場合によっては、ご依頼者の信頼を裏切ることになりかねないと思います。
関心のある分野
弁護士の一生は勉強の連続ですが、関心ということであれば、いろいろな方面に関心があります。ただ、なかなか勉強する時間がなくて、単なる関心にとどまっているのが悲しいところです。
1人事務所ですので、限界はありますが、ご依頼を受けた事件を足がかりに、その方面の勉強を進めたいと思っています。取り扱う案件に応じて、いろいろな分野の専門的知識を増やしていきたいですね。現在は、特に高齢者の権利保護の問題、企業の労務管理の問題について関心を持って取り組んでいるところです。
今後の弁護士業界の動向
私が弁護士登録をしてから20余年、弁護士の数は約2.5倍になりました。
この20年を見ていても、弁護士業界も商売の上手な人が成功する世界になってきたのだと感じています。
今後、一般民事・家事事件を中心に取り扱う法律事務所も、大手スーパーマーケットのように、法人化して大規模な広告を打って全国各所にオフィスを設置するところと、町の商店のようなこぢんまりとした零細事務所とに二極分化していくのではないかと思っています。
今後のビジョン
今の事務所のスタンスを変えるつもりはありませんが、徐々に事務所の規模や取扱い分野を拡大していきたいと思っています。
ページを見ている方へのメッセージ
多くの一般の人にとって、弁護士に紛争解決を依頼することは、一生に何度もあることではないと思います。
そのような大事な仕事を依頼するわけですから、弁護士選びをするときは、大きな手術を受けるときのように、他の弁護士にセカンドオピニオンを求めてみるのがよいでしょう。
セカンドオピニオン、サードオピニオンを求めることによって、同じ事件でも、弁護士によって見る角度が異なり、いくつかの解決方法が見えてくることもあるでしょう。また、弁護士選びに際しては、「相性」も大切です。弁護士との相性が悪いと、紛争を抱えているというだけでもストレスなのに、もう一つ余計なストレスを抱えることになります。弁護士選びに際しては、事件の見立てが適切にできているか、弁護士費用が相当であるかの他に、「相性」もよく見た方がよいでしょう。