知的好奇心の赴くまま、いつでもアクティブに~裁判官からキャリアチェンジして突き進む弁護士業
決断力と実行力で切り開いた道
ーー裁判官から弁護士に転身して今に至るそうですが、そもそも法曹界を志した経緯を教えてもらえますか。
大学進学を控えた高校生の頃から、法学部への進学を漠然と検討していました。ただ、その時点では法曹になりたいとまでは考えておらず、司法試験を受験するなんてことまで当然のことながら考えていませんでした。
しかし、法学部に進学すると、周囲は司法試験に向けて熱心に勉強している学生ばかりでした。その真剣さに感化され、また、当時は就職氷河期というのもあって、就職に対する漠然とした不安もありましたので、自分も司法試験に挑戦してみようと思ったことが、法曹界に進むきっかけとなりました。
裁判官を意識するようになったのは司法修習時代です。当初は、なんとなく弁護士を目指していたのですが、裁判官の教官に「裁判官にならないか」と誘われて、関心を持ちました。
日本では、裁判官から弁護士に転職する例はあるものの、弁護士から裁判官への転身は厳しい審査があるため、まだまだ実例が多くありません。弁護士になる道は将来にわたって残されているけれども、裁判官になるチャンスは今しかないと考え、裁判官になることを決意しました。
ーー裁判官時代はいかがでしたか。
所属先が比較的自由な気風だったこともあり、とても楽しい時間でした。合議事件(裁判官3名で担当する事件)の主担当裁判官として、判決の下書きをおこなったり、調べ物に奔走したりと、充実した毎日でした。
様々な事件に携わる中で、弁護士の仕事にも興味を抱くようになりました。また、裁判所では事務官や、書記官等、所内の職員がいろいろお膳立てしてくれて、職務を行っておりましたが、そのこと自体は、とても仕事がやりやすくて、ありがたいことではありましたが、基本的には裁判所外との交流も少なく、このまま裁判所でキャリアを積んでいっても、自分自身の社会経験が足りないのではないかという思いもあり、異動のタイミングで退官を決意しました。約2年半の在職期間は、多くの学びと経験が詰まった貴重な時間でした。
ーー弁護士としてのキャリアはどのように積まれたのですか。
裁判所を退官した後、福岡県弁護士会で弁護士登録をし、企業法務に強いと評判の法律事務所に入所しました。多くの顧問先を持つことから、幅広い案件に携わることができ、充実した学びの機会に恵まれました。 当時の事務所の所長は、早くに亡くなられてしまったのですが、先生からの教えは、私の弁護士としての執務についての指針であり、大切にしております。
福岡の法律事務所で経験を積んだ後、東京に拠点を移し、2020年にAuthense法律事務所に入所し、現在に至ります。
「100パーセントの回答を目指してはいけない」という恩師の言葉
ーー注力分野を教えてください。
福岡時代から、一貫して企業法務に注力しています。取り扱う企業の規模や業界、相談内容は限定せずに、幅広く対応しています。
最近の傾向としては、知的財産関連やAIに関する相談が増えています。また、当事務所の関連会社にプロアスリートのエージェント会社があることから、スポーツ法務にも力を入れています。
企業法務は、その企業の業種によって必要とされる法律が異なるなど、難しい点もありますが、幸いにも私は好奇心が強い性格だと思いますので、自分が詳しくない業界という理由で依頼を断ることはありません。新たな分野においても臆せずに積極的に学び、知識を身に着ける姿勢を持つことを心掛けています。また、柔軟なフットワークで様々な領域に挑戦したいと思っています。
ーー仕事をする上で心掛けていることはありますか。
先ほどお話しした、福岡時代の法律事務所の所長から教わった「最初から100パーセントの回答を目指してはいけない。」という言葉を、ずっと大切にしています。この100パーセントという数字は、完成度の高さやミスの無さを指しています。
例えば、クライアントから相談や質問を受けた際に、期待に応えるために最善の努力を惜しまないのは当然のことですが、完璧さを求めすぎて、リサーチや検討に時間がかかってしまい、回答に時間がかかりすぎるのは考えものです。
企業法務は、スピーディーな対応が何よりも重視される世界です。回答そのものの質が高くても、相談や質問を受けてからの時間が長すぎると、その価値は薄れてしまいます。
もちろん、回答が迅速かつ内容が完璧であれば理想的ですが、常にその水準に達することは困難です。 また、特に、昨今では、新しいビジネスの領域などでは、まだ法律や、裁判例がなく、正解がないというような質問もよくありますので、その質問に対して、そもそも100パーセントの回答というのはできないことになります。 ですから、まずはクライアントが求めるスピードに応えることを最優先して、70〜80パーセント程度の完成度で回答します。残りの部分については、クライアントとの対話や詳細な検討を進める中で、不足している点を具体的に補完していくようにしています。
ーークライアントとのコミュニケーションに関して意識していることはありますか。
相手の立場を想像しながら物事を捉えることが重要だと考えています。同じ企業の社員でも、部署、役職、雇用形態、勤務地などによって異なる意見や立場が存在します。
一括りに考えるのではなく、対話相手の視点を踏まえ、その立場に共感しながらコミュニケーションを取るように心掛けています。
弁護士に依頼するメリットを感じてほしい
ーーどんな時に企業法務のやりがいを感じますか。
自分が法務面で関わった企業が新しいCMをリリースしたり、新しいプロジェクトをマスコミに発表したりしたときです。自分の仕事が、社会でこのような形で活きているという達成感がありますし、自身の関与が実を結んだと実感します。
また、担当者からお礼の言葉をいただく瞬間も、心から嬉しいです。
ーー予算不足や人手不足により、法務を法務部以外がカバーしている企業もありますが、弁護士としてどのように思われますか。
士業の有資格者が関与している場合は問題ないかもしれませんが、そうでない場合はリスクが伴います。たとえば、契約書のチェックにおいては、自社に不利な条項を見落とし、後に取引先とのトラブルに発展する可能性があります。また、法律知識が不足している方が法務面を担当する場合、本人に大きなプレッシャーやストレスがかかるでしょう。
弁護士に依頼することで、法務を担当していた部署や社員の心理的負荷を軽減できます。これにより、本来の職務に集中できる時間が増え、ポジティブな効果が期待できます。
企業が弁護士を積極的に活用することは、効率とリスクヘッジの観点から望ましいと思います。
ーー今後の展望を教えてください。
時代の変化や社会の変化に対して、より柔軟に対応する必要があると考えています。新しい分野や法律を学ぶだけでなく、働き方やクライアントとの接し方もブラッシュアップし続けて、常に状況を見直し、変化を受け入れつつ、アップデートしていく姿勢が重要だと感じています。
ーー最後に、現在弁護士を探している方や法律トラブルで悩んでいる方に向けて、メッセージをお願いします。
弁護士との面談は緊張すると感じる方も多いかもしれませんが、気軽にご相談いただければと思います。
ご相談いただくことで、現状を良くするためのアイディアや解決策を提供できるかもしれません。ビジネスを共に盛り上げ、問題を解決していくお手伝いができることを楽しみにしています。お気軽にご相談ください。