知的財産修士の学位も取得してクリエイターを支援〜エンタメ業界を中心に労働問題にも注力
原発事故被害者の被害回復に長年取り組む
ーー弁護士を目指したきっかけや理由を教えてください。
中学校の図書室にあった『家裁の人』という漫画を読んで、裁判官に憧れたのがきっかけです。人の助けになる仕事をしたいと思い裁判官を目指していましたが、司法修習で弁護士の仕事を経験し、当事者に寄り添って事件を解決できる弁護士の仕事に魅力を感じて弁護士になることを決めました。
学生時代は小説家や声優などにも憧れていたのですが、弁護士になって小説家や声優事務所と仕事をする機会があり、憧れていたエンタメ業界にも関わることができたので、弁護士の道に進んで良かったと思っています。
つい先日も、人気アニメのエンディングロールに弁護士として関わった会社の名前を見つけ、感慨深かったです。
ーー弁護士になってから現在の事務所を開所されるまでの経緯を教えてください。
弁護士になってすぐに法テラスのスタッフ弁護士として働きました。法テラスで働こうと思った理由は、経済的に困っている人も法的サポートが受けられるようにという理念に惹かれたからです。
法テラスで3年働いた後、2012年から原子力損害賠償紛争解決センターで調査官を務めました。調査官は、原発事故被害者から申し立てがあった際に、当事者に直接話を聞いたり資料の調査を行ったりして電力会社との和解仲介をサポートする仕事です。東日本大震災があった年に茨城県の事務所で働いていて、被災地の状況を近くで見ていたことから、被災者の役に立ちたいと思い、この職に就きました。
震災から5年ほど経って調査官の仕事が落ち着いて来た頃に、いまの事務所を立ち上げました。しばらくは調査官と並行しながら仕事をしていましたが、2021年に同職を離れ、現在は弁護士業に専念しています。
「クリエイターの力になりたい」
ーー注力分野を教えてください。
著作権をはじめとした知的財産に関する問題を中心に、エンタメ関連の事案に注力しています。学生時代から小説や漫画原作の執筆活動や舞台の演出などをしていたため、エンタメ関係者に知人が多かったんです。知人の相談を受けているうちに自然と知的財産に関する依頼が増えました。
知的財産の事案に携わってみると、小説家や音楽家、写真家といったクリエイターの中には、知的財産の相談を誰にしたらいいかわからず困っている人が多いことを知りました。そこで専門職大学院で知的財産修士の学位を取得して、専門的に取り組むことにしたんです。
最近はYouTuberやVTuberからの依頼も増えました。投稿する動画の適法性の判断やインターネットでの炎上予防のためのアドバイスなどを行っています。
また、労働問題にも力を入れています。法テラスで働いていた時に労働者側の事件を担当し、独立してからは使用者側の事件も扱ってきました。労働組合との団体交渉など、労働問題に関する事件を数多く経験したことから注力しています。
ーー仕事をする上で心がけていることは何ですか?
当然のことですが、話を聞くことが大事だと思っています。「アドバイザーになる前にカウンセラーのように聞く」ことを心がけ、聞くことから始めるようにしています。依頼者の話を遮らずに聞き、必要なことがあれば質問しています。
また、業界を知っておくのも大事なことです。例えば、VTuberのキャラクターデザインをした人を「ママ」と呼ぶのですが、そうした専門用語を知っていることで会話をスムーズに行うことができます。一般的に「弁護士」に相談するというのはハードルが高いと思われているので、話しやすい環境を少しでも作れるように、YouTuberやVTuberの方が投稿されている動画を事前にチェックしておいて、動画の感想を述べるなど、いろいろ気遣うようにしています。
ーー今後の展望についてお聞かせください。
知的財産と労働を専門にしながら、他の分野にも可能な限り対応したいと思っています。明らかに難しいものではない限り、来た相談に対してはすべて対応してきましたし、これからも対応していくつもりでいます。
ーー法律トラブルを抱えて悩んでいる方へメッセージをお願いします。
チェスのルールを知らない人がチェスで勝てないことを悩んでも仕方ないのと同じように、法律に詳しくない人が法律問題に悩んでいても、事態は改善されません。法律のプロである弁護士に相談してもらえれば、問題解決に繋がると思います。
また、弁護士もいろいろなので、最初に相談した弁護士が合わないと思ったら、他の弁護士に相談してみるのもよいと思います。弁護士によって見解が違うこともありますし、相性もあると思いますので、いろいろな弁護士に相談してみてください。