法律トラブルを未然に防ぎ、人間関係を守る~予防法務を重視した活動に尽力
ドラマで出会った法律の世界
──弁護士を目指した経緯を教えてください。
高校生の頃に検察庁が舞台のドラマ『HERO』を見て法律の世界に興味を抱き、司法修習生を描いたドラマ『ビギナー』を見たこともきっかけとなって法律家に漠然と憧れるようになりました。
大学生の頃は勉強というより部活動が中心で、法律家に挑戦してみようと思ったのはロースクールに進学してからです。最初は、『HERO』の影響もあり検察官にも興味があったのですが、ロースクールの授業で法律事務所に伺う機会があり、そこで先輩の現役弁護士から仕事の魅力を教えてもらい心が決まりました。
弁護士は業務範囲が広く、さまざまな職業や立場の人たちと関わることができます。多くの人に関わるということは、それだけ学びや発見も多いということです。人と関わりながら、自分も成長していける弁護士という仕事に魅力を感じ、弁護士の道に進むことを決意しました。
──どんな学生生活を過ごされていましたか。
大学時代はどちらかと言うと、勉強よりも部活動に夢中の毎日でした。水泳部に入部して夏に行う遠泳のために練習したり、夏は部員で船を操船して遠泳を行ったり、「水府流」という流派の日本泳法を教わったりして、年中泳いでいました。季節によっては朝の6時台から練習が始まるハードな部活で、4年間を通じて心身ともに鍛えられたように思います。
本格的に司法試験の勉強を始めたのは、大学を卒業してロースクールに入学してからです。大学でスポーツに打ち込んでいた分、次は勉強というふうに気持ちをしっかり切り替えて臨むことができました。
常に謙虚に、依頼者の話に耳を傾ける
──現在もっとも注力している分野について教えてください。
企業法務と相続に注力しています。どちらも「法律トラブルを未然に防ぐ」という視点を大事にしています。
企業法務なら、取引が始まる時点で契約書を確認してリスクを抑えることも重要ですし、特に新規事業においては規制法令を確認し、コンプライアンス的な視点も踏まえつつ取引自体の仕組みを検討することによってリスクを抑えることも考えられます。企業は従業員を抱えることも多いですから、労働問題が生じないように日頃から労働環境の整備に力を入れておくことも大切です。相続なら、遺言書や財産目録を作成しておくことも重要ですし、よく話し合って意見を伝え合うことも大切です。そうした積み重ねがトラブル防止に繋がります。
トラブルを未然に防ぐことは、金銭的・時間的な損失を回避するだけでなく、職場や親族間の人間関係を守るというメリットもあります。トラブルをきっかけに損なわれた信頼関係を修復するのはとても困難ですし、トラブルのために貴重な人生の時間が使われてしまうことも残念ですので、紛争予防を念頭に置くことは重要なことだと思います。
──仕事をする上で心掛けていることはありますか。
ひとつは、ご相談者さまの話によく耳を傾けることです。問題解決のために弁護士が把握すべきことと、ご相談者さまが話したいと思っていることが一致するとは限りません。だからと言って「事件と直接関係のない話は結構です」と言って話を打ち切るようなことはするべきではないと思っています。
話を通じてご相談者さまがなにを心配しているのか、何に傷ついているのかを知ることは重要なことですし、ご相談者さまをよく知ることが信頼関係の構築にもつながります。
もうひとつは、常に謙虚でいることです。仕事柄、相談「する」より「される」立場になるほうが圧倒的に多いですが、相談されることや頼られることで、まるで自分が偉くなったかのように錯覚してしまうのは非常に危ういことだと感じています。
言うまでもないことですが、相談「される」立場の人間は、「する」立場の人間より偉いわけでも、特別な地位を持っているわけでもありません。ご相談者さまの人生の、ほんのごく一部分に関わっているだけに過ぎない。そのことを忘れずにいたいと思っています。
「ありがとう」を何よりのやりがいに
──弁護士として活動してきたなかで、特に印象的だったエピソードを教えてください。
ある相続事件が思い出深いです。相続手続きそのものはほぼすべて終わった頃、相続人のひとりが体調を崩してしまいました。
その方が私に、「自分に万が一のことがあったら、死後の手続きなどの一切を任せてもいいですか」と仰ったのです。体調不良によるストレス、不安、心細さ。本当に苦しいときだったと思います。そんな大変な状況下において、私を頼ってくれたことがうれしかったです。
もちろんお受けしますと答えると、「よかったです。安心しました」と言ってくれました。それからしばらくしてその方は亡くなってしまったのですが、人の信頼を得ることの誇らしさ、責任の重さを感じる出来事でした。
──弁護士のやりがいを教えてください。
ご相談者さまから感謝の言葉をもらえることです。「ありがとう」と言われると仕事の疲れも吹き飛びますし、がんばってよかったなと思えます。
──休日はどんなことをして過ごしていますか。
子どもの世話をしていることが多いです。平日の家事・育児はほとんど妻にお願いしているので、休日は食事作りを含めて私がなるべく育児をするよう心がけています。
以前はいろいろなレシピを調べたりしてこだわって料理していたのですが、手間をかけたものよりシンプルな食事のほうが子どもに喜ばれるということがわかったので、最近は気軽なメニューを中心に作っています。台所に立つのは気分転換にもなって楽しいです。
大学で始めた日本泳法は選手としては引退したのですが、審判の資格を取得して、年に1回開催される全国大会の運営スタッフとして関わり続けています。
──今後の展望を教えてください。
予防法務分野の専門性をさらに高めていきたいと考えています。
また、弁護士として得た専門知識を世の中の幸せを増やすために活かす活動をしたいという気持ちがあります。報酬をもらって取り組む仕事なのか、あるいはボランティア的なものなのか、具体的なことは決めていないのですが、自分の能力や目標にフィットした場で貢献したいと思っています。
──法律トラブルを抱えて悩んでいる方や、弁護士を探している方に向けてメッセージをお願いします。
心配事がありましたら、できるだけ早めにご相談ください。相談することで「今はなにもしなくて大丈夫」とわかる場合もありますし、「弁護士に依頼せず自分で解決できる」とわかる場合もあります。
弁護士に相談するとお金がかかるイメージがあるかと思いますが、費用を抑えた解決方法を提案することも可能です。風邪をひいたら近所の病院に行くのと同じように、気軽に弁護士を頼ってもらえるとうれしいです。