籔内 俊輔 弁護士 インタビュー
弁護士を目指したきっかけ
大学に入る時は弁護士になろうと思っていたわけではありませんでした。神戸大学の法律相談部に入り、無料で公民館のようなところを借りて一般の市民の方々の法律相談を受けていました。
そこで先輩で弁護士を目指して司法試験の勉強をしていた人や、OBの先生が色々とお話をして下さるのを見ていて、法的な問題で困っている人に何かできればなと思ったのがきっかけです。
仕事の中で嬉しかったこと
基本的に弁護士の仕事は依頼をしてくれた方のために法的なサービスを提供するものですので、依頼者の方がサービスの内容や事件の結果に満足して頂くということが一番嬉しいです。
また、私は弁護士として仕事を2年半ほどしてから、2006年4月から2009年3月まで3年間、公正取引委員会に勤務していたのですが、弁護士のときにも公務員として勤務していたときにも、何人かでチームを組んで扱う案件というのがあり、その中で自分のやっている仕事が役に立っているという風に認識できること、また、自分のやったことが一部になって最終的に良い結果が出るということにやりがいを感じる時もあります。
弁護士になって大変だと感じること
弁護士と公務員を両方経験して違うと思うこととして、弁護士の仕事は予定が立ちにくいということがあります。公務員は、仕事内容にもよりますが、一定の目標があれば目標に向けて作業を淡々とこなしていくという側面が比較的強いと思います。それと比べ、弁護士は突然ご相談に来られることもありますし、案件が突然来ることもあるので、それを予測出来ないということがあります。
ですので、どうしても早く対応しなければならない案件がくれば、その日にやろうと思っていたほかの作業をそっちのけにしてでも、対応することになりますので、当初やろうと思っていたことを結局別の時にやらなければならなくなります。そういったスケジュールのコントロールが大変ですね。
仕事をする上で意識していること
仕事の上で意識をしていることといえば、なるべく依頼者の方と直接会ってお話したり、出かけていって実際に現場をみたり、連絡や報告をよくすることで、依頼者の方がどういうことを思っていらっしゃるのかを聞くようにするなど、コミュニケーションを大事にしています。
もちろん案件の依頼を受けた場合には、その結果は大事だと思うのですが、結果に至るプロセスでちゃんと話を聞いてもらったり、自分の意向をちゃんと反映されていることを実感していただけるようにすることがお客さんの満足感に繋がると思いますので、この点を注意しています。
また、特に企業のクライアントは、素早いレスポンスに期待をしておられる方も多いので、なるべく素早いお返事や対応を心がけていますね。
関心のある分野
公正取引委員会に勤務していた経験があるので、企業間の自由で公正な競争を確保するための法律である独占禁止法や、虚偽広告を規制したり過大な景品提供したりすることを規制する景品表示法、大企業が小さな下請け企業に無理難題を強いることを規制する下請法という3つの法律に関心を持って見ていますし、事件のご相談も多いです。
印象に残っている案件(事件)
公正取引委員会に行く前にやっていた事件としては、会社更生手続の倒産事件に関与したことが一つ印象に残っていますね。この事件は、事務所の多くの弁護士が関与したのですが、そのチームの中に私も参加することになりました。
会社更生とは、大雑把にいうと、会社が債務を全額払えなくなった状態になったときに、裁判所の手続によって事業は続けながら債務の免除をうけて残りを支払うという制度です。会社更生は破綻した会社が自分で申し立てることもありますし、お金を払ってもらえていない債権者が申し立てることもあります。
また、会社更生の特徴としては従前の経営者に基本的には辞めてもらい、裁判所が選んだ弁護士の管財人が会社を切り盛りしていくことになっている点です。
債権者が裁判所に申し立てるパターンでは、会社更生手続の開始の前段階に保全処分がされると管財人候補の弁護士が選ばれて、いきなり何の前触れもなく、裁判所の書記官と弁護士が会社に行き、「裁判所の決定が出ているから今日からこの会社は弁護士が管理します」というように会社に乗り込んでいくことになります。
会社更生手続が始まることを従業員に対して説明したり、支払われていないお金についての支払を求めてくる取引先への対応をしたりしていました。
弁護士になって2年目ぐらいのときで、初めて関与した再生型の倒産事件で、もちろん会社の経営をみるというのも全く体験がありませんでした。色々と事業の内容、運営の仕方を教えてもらいながら会社を見ていくのはその時は面白いと思いましたね。
また、その後、公正取引委員会に勤めていた時にも印象に残っていることもあります。公正取引員会では、独占禁止法違反をしている疑いのある企業に対して調査をして、違反を是正したり、課徴金と呼ばれる行政上のペナルティを課したりするといった業務にも関与していました。
公正取引委員会の調査は、これも事前に予告無しに企業を訪問して、独占禁止法上の調査権限に基づいて会社の従業員の方の机の中・キャビネットの中・パソコンの中のデータなどを見せてもらい、必要なものを提出してもらって、持ち帰ります。こうした調査に先立って、どのように調査をしていくか計画を立てたり、提出してもらった資料やデータを読み込んだり、実際に従業員の方を一人一人呼んで、話を聞き、供述調書を作成したりという作業もしていました。
こうした作業は、弁護士の仕事の中ではとても経験できませんし、公正取引委員会の調査の仕方や事件に取り組む姿勢・考え方を実際に見聞きすることができたので、大変良い経験になりました。
今後の弁護士業界の動向
弁護士の人数は増えており、よりクライアントのニーズへの対応ということを意識した活動が必要になっていると思います。
私の所属している事務所で言うと個々の弁護士が専門性を持って、それぞれ違う専門性を持った弁護士が数多くいることを特色としていますので、広く色々な分野に対応できるという点が強みかなと思っていますし、私自身は、公正取引委員会で勤務した経験を活かして独占禁止法等の分野について、学問的な研究だけでなく、規制当局の実務的な考え方や動き方を理解した上で必要なアドバイスができるという点で、そうしたサービスを必要としているクライアントをサポートしていきたいと思っています。
また、クライアントのニーズを踏まえ、気軽に相談しやすい弁護士と思ってもらえるように、各弁護士がいろいろと工夫していく必要もあると思っています。