労働問題の解決事例
  • 給料・残業代請求

労働者に該当することの立証に成功し、かつ、使用者からの不当な賠償請求を排斥し、残業代を勝ち取った事例

30代 男性
この事例の依頼主 30代 男性

相談前の状況 会計事務所に対する残業代請求の相談です。
相談者の方は公認会計士の資格を有しておられたので、会社との関係が雇用契約ではなく(ちなみに雇用契約書は作成されていまんでした)、委任契約の可能性がありました。雇用契約でないと、残業代は法的に発生しません。
裁判になれば、この点が争点になることは十分予想できました。
もっとも、相談者の方の業務内容を仔細に検討すると、公認会計士の資格を有するとは言っても、他の資格を有しない一般社員と同じ状態で職務を遂行しており、その方が会社からの指揮監督を受ける労働者であったことの心証を抱き、勝算の見込みが立ったので、訴訟提起をすることにしました。

解決への流れ 訴訟が始めると、会社側の代理人は案の定、依頼者の方と会社との関係は委任関係であって雇用契約ではなかったと主張してきました。
もっとも、それに留まらず、依頼者の対応が悪く、依頼者が担当していた数社の顧問先から顧問契約を解消されたと主張し、将来10年分の顧問料600万円の逸失利益を失ったとして、依頼者に対し損害賠償の反訴を起こしてきました。
ご丁寧にもその顧問先から依頼者の対応が悪かったので顧問を解消しますとの報告書まで証拠として提出してきました。

想定していた労働者性については、担当業務の内容及びフローを証拠を以て、会社の指揮監督のもとに置かれていたことを拘束を受けていたかを十分に主張し、裁判官からも「労働者」であったとのお墨付きをもらいました。

次に予想していなかった会社からの損害賠償請求に対してですが、依頼者から一から事情を聴取し、問題となった顧問先に関する報告書やその顧問先について会社との間でやりとりしたメールを証拠として多数提出し、会社の指示に従って忠実に行動してきただけであっって何ら責められるべき点がないこと、むしろ、顧問契約が解消された原因はしかるべき対応措置を指示してこなかった会社の体制自体にあることを反論し(証拠で出されている各顧問先の報告書は判を押すように同一の内容であり、被告会社が判子だけ貰ってきた代物に過ぎないと主張)、この点も裁判官の理解を得ることに成功しました。

その結果、依頼者さんに対する賠償責任はなく、会社から一定の金額の支払いを受ける内容で和解を成立させることができました。
損害賠償責任を負うのか非常に不安になっていた依頼者さんはこの結果に胸を撫で下ろし、満足されました。

山田 晃義 弁護士 山田 晃義 弁護士からのコメント 労働者からの使用者に対する訴訟において、会社側から不当な請求がなされることが時々ありますが、この件は責任を押し付ける内容や賠償額の点で非常に際立っていました。
そもそも会社の指示にしたがっている限り、労働者に問われべき責任など通常なく、仮に責任が認められたとしても会社から労働者に対する賠償請求は判例上制限されるのが一般的です。
それにもかかわらず、使用者から多大な賠償請求を行うのは、労働者側の請求を減額させるためです。
このような戦略に乗らないように労働者側は毅然として対応することが肝要です(本件でも弱気になりそうな依頼者さんを何度も励ましました)。

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