
牧野 茂 弁護士 インタビュー
弁護士を目指したきっかけ
私はもともと理系志望だったのですが、高校の時代に創造的で自由な弁護士という仕事に魅力を感じ、弁護士を目指すようになりました。もともと市民サイドに立って、魅力的な社会制度を実現したいという思いがあり、そのようなものに出会ったときに一番そのことに集中して取り組むことができる点で弁護士があっていると思いました。
今私が大きく力を注いでいる裁判員制度がその典型で、そのような大きな政策にかかわれたことをうれしく思っています。
印象に残っている事例
たくさんありますが、その中でも特に他の事務所の弁護士の方と弁護団を組んで取り組んだ強盗殺人事件の弁護が印象にのこっています。
この事件で争点となったのが精神鑑定による責任能力の有無だったのですが、最終的には責任能力ありとされてしまい有罪となってしまいました。しかし、最初の鑑定書にも疑問点が附記されていたので、再鑑定を要求したのですが、それは認められませんでした。
このときの裁判官は職業裁判官だったのですが、もしこれが裁判員による裁判だったら、もう少し慎重に調査をしてくれたと思います。その点で今の私の活動と絡め、振り返ってみるととても印象深い事件となりました。
仕事の中で嬉しかったこと
裁判は勝つものは勝つし、負けるものは負けるのですが、それでもやはり、負けるかも知れない事件で、裁判に勝った時はうれしいです。一審では別の弁護士が敗訴だった事件が、控訴審で受任して、見方を変え別のストーリーを作りだすことにより、逆転したりした時はやりがいを感じます。
弁護士になって大変だと感じること
一番大変なのは依頼者との信頼関係を維持することです。あまり依頼者との間に距離を置きすぎても依頼者からの信頼は得られないし、近づきすぎても他のものが見えなくなってしまうのでよくありません。そのため私は、相談を受けるときは相手側の反対尋問のようなつもりでも臨むように工夫しています。
弁護士としての信条・ポリシー
裁判所や相手方にも信頼されるような業務をするということです。つまり、相手とは戦いには行きますが決して卑怯な手などは使わず、お互いを評価し合うということです。そのようにすることで次の仕事に生きてくることもあります。
依頼者に対して気をつけていること
説明を尽くすことです。勝敗の見通しや、途中経過などもちゃんと報告するよう心がけています。また依頼者の方も人間ですので、言いたくないことを言わない場合もあります。そのようなことは逆に依頼者のためにならないのでそのようなものはクリアにするよう心がけています。
関心のある分野
裁判員制度の活動は裁判員経験者の交流を図る裁判員経験者ネットワークの共同代表世話人として今後も取り組みます。他方で長年の不動産、相続、離婚、損害賠償等の交渉や訴訟の事件処理の経験を生かしてより多くの市民のみなさんへの法的サービスもしていきたいと思っています。
※裁判員経験者ネットワークのホームページは以下になります。