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和解のためなら手段は選ばず?事実認定に疑問…弁護士が語る!問題がある裁判官たちVol.1

和解のためなら手段は選ばず?事実認定に疑問…弁護士が語る!問題がある裁判官たちVol.1

「問題がある裁判官」に出会ったことがある4人の弁護士。彼らが出会ってしまったのは、どのような裁判官なのか。 2021年9月号の雑誌に概要版を掲載した匿名座談会(座談会はオンラインにて、2021年7月28日に実施)の完全版を3回にわけて掲載。1回目は、簡易裁判所や地方裁判所の裁判官、和解を強要する裁判官、事実認定に問題がある裁判官について、4人の弁護士の体験談などを紹介する。 ※写真はイメージ(Graphs / PIXTA)

●登場する弁護士
※以下、本文中ではA〜D氏で表記

A弁護士(大阪弁護士会・57期)
主に刑事裁判で、被告人を最初から有罪と決めつけるなど、問題がある裁判官に何度も出会ってきた。刑事裁判での一番の敵は「裁判官」だと思っている。

B弁護士(大阪弁護士会・61期)
主に離婚に関する事件で、問題がある裁判官に出会ってきた。突然、裁判官にキレられたこともある。居眠り裁判官については、前向きに考えている。

C弁護士(東京弁護士会・57期)
かつては多様な問題がある裁判官に出会ってきたが、最近は会う回数が減ってきた。ただし、事実認定に問題がある裁判官に出会うことはあり、強い問題意識を抱いている。

D弁護士(60期代)
不幸にも、同じ問題がある裁判官に何度も当たってしまった経験を持つ。和解を強要したり、「なんでも有罪」にしたりする裁判官などに出会ったことがある。

「問題がある裁判官」は、どこに行く?

ーー「裁判官に関するアンケート(全国の弁護士511人)」では、訴訟指揮に問題がある裁判官に出会った場所は地方裁判所(以下「地裁」)本庁、法的判断能力に問題がある裁判官に出会った場所は簡易裁判所(以下、「簡裁」)がもっとも多く、いずれの裁判官に出会った場所も簡裁、地裁(本庁・支部)が上位3位を占める結果となりました。どのようなことが要因として考えられますか。

A氏:簡裁の民事の裁判官については、地裁などの裁判官を定年退官し、継続雇用となっている人であれば、そんなに問題はないと感じています。ただ、書記官などから裁判官になった方の場合は、私たちが研修所で教わる要件事実のあたりの理解がちょっと不適切なのかなと思うことはあります。

また、地裁で民事の訴訟指揮について問題があると感じたことはそんなにない。ただ、刑事の場合、被害者や検察官の主張はそのまま受け入れる一方、被告人は最初から相手にしないような態度を露骨にとる裁判官が、私の感覚では7、8割はいます。

私の先輩で、裁判官を定年退官された方は、かつて刑事裁判研修の教官として東京に行ったときに、別の教官が、研修に来ていた裁判官に「被告人に有利な判決書いたら出世させないよ」という趣旨のことを露骨に言われたそうです。その話を聞き、憲法で規定されている被告人の利益を守る意識などは裁判官にまったくないのかなと感じました。

B氏:刑事裁判については、A氏と同感で、初めから被告人を有罪と決めている裁判官が多いと感じています。上しか見ないという意味で、私は刑事裁判官の大半を「ヒラメ」と呼んでいます。ヒラメの民事裁判官も少なくありませんが、刑事裁判官ほどではないですね。

本庁と支部にいる裁判官も違うと思います。たとえば、家裁の支部には、出世を諦めすぎてまともな判断ができなくなっているんじゃないかと思うほどの「世捨て人」のような裁判官もいます。支部は、一般の企業でいう「窓際」に当たる役所だと感じることがあります。

C氏:本庁は人がたくさんいる分、問題がある裁判官も多いのかもしれません。関東の支部の中には、在籍している裁判官の数としては合議を組めるはずなのに、合議体がないところがあります。その支部に合議体がない理由は「出来の悪い裁判官が集まる場所だから」と聞きます。裁判所としても、1人しか裁判官がいない支部には、問題がある裁判官を行かせないなどいろいろと考えているのではないかと思います。

D氏:ある支部について、知り合いの弁護士が、「この支部は、裁判官にとっての流刑地」と言っていました。島流しではないのですが、問題がある裁判官が集まる支部はあると思います。

B氏:ただ、裁判所にとって問題がある裁判官が配属されている支部の場合、弁護士にとっては、いい裁判官が集まっている可能性もあるんですよね。裁判所にとって問題がある裁判官とは、最高裁判所事務総局が問題視しているだけで、ヒラメじゃない裁判官ということがままあります。

D氏:事務総局の意向にかなう方はどんどん出世していきますよね。そうじゃないと、いつまで経っても部総括にはなれない。部総括になれなくても、どこかに配置しなければならないので、合議体を持たない支部にベテランの裁判官が配属されたり、高裁の右陪席になったりすることはあるでしょう。裁判所に「問題がある」とされた裁判官は、高裁の右と支部を行き来し、部長にはならないパターンがみられるように思います。

ただ、その人たちが、弁護士にとって問題があるかというと、また別の話なんですよね。結局、裁判所は、事件処理のスピードが速い裁判官のことを「良い裁判官」と考えているのではないかと思います。時間をかけないと難しいと考えている事件でも、なんとか早く事件を終わらせようと突っ走る裁判官や、非常に優秀でも自分の意見が強く、当事者の苦労を汲み取ってくれない裁判官はいます。

和解のためなら手段を選ばない裁判官…拒否したら「次回期日は明日」

ーーこれまで、和解を強要する裁判官に出会ったことはありますか?

C氏:かつて、理屈にならないような理屈で無理やり和解させようとしてきた裁判官が、脅しのようなことをしてきました。この裁判官は4月に異動になる内示があり、3月の期日に、私が「和解は難しいです」という話をしたら、「いや、ここで、先生の携帯から依頼者に電話かけてください」と言ってきたんです。その裁判官は高裁の右陪席と支部を行き来しているような裁判官でしたね。幸い、最近は無理やり和解をさせようという裁判官に出会うことはあまりないのですが…。

D氏:和解を拒否したら、「次回期日を翌日に入れる」と言ってきた簡裁の裁判官がいました。書記官から簡裁判事になった裁判官でしたが、訴訟指揮も強引でした。

その事案では、和解にあたり、6つの検討事項がありましたが、C氏のケースと同じく、裁判官は「今すぐこの場で依頼者に電話して、検討事項を確認して」と言ってきたんです。さすがに確認すべき項目数も多く、事務所に依頼者を呼んで腰を据えて話をしないと、「言った」「言わない」のトラブルになりかねないと思いました。そこで、裁判官に「依頼者と話して、了解が取れてからにしてほしい」と言ったところ、「それならば、期日は明日にする」と言われました。

B氏:和解させようとして、嘘をつく裁判官に何度か出会ったことがあります。心証らしきものを開示してきて、「負かされたくなかったら、和解しろ」ということを言外に匂わせながら説得してくるんですよね。ただ、「依頼者を説得できなかった。申し訳ないが、和解できないので判決を下してほしい」と裁判官に言って、いざ蓋を開けてみたら、こちらが勝ったということもあります。

A氏:幸い、私は和解を強要された経験はないのですが、事案をきっちり理解して、法的な判断力もあって、かつ、依頼者を説得しやすいタイミングを分かっている裁判官か否かによると思います。

判決の場合は先の見えない結論を待たなければなりませんが、和解であれば、結果が見えています。ですので、私は依頼者にとって必ずしも不利益ではないと思える場合は、積極的に和解に向けて協力するようにしています。ただ、裁判官の法的知識や事案の理解が不十分なまま、和解をめられると、さすがに依頼者を説得できずに困ることがあります。

事実認定に問題がある裁判官「裁判所に対する信頼がなくなる」

ーー裁判官の事実認定に疑問を抱いたことはありますか?

C氏:あります。こちらも悪かったのですが、家族で会社を経営し、子どもを監護している方が婚費を求める調停中に、代表者であるその方の報酬を減額したことがあるんです。裁判所としては、調停中に報酬を減額したことが気に入らないのは分かるのですが、もともと無理な経営をしていた方だったので、やはり報酬を減額せざるを得ないという事情がありました。その事情を損益計算書・キャッシュフロー計算書などの決算書から丁寧に説明したつもりでしたが、「婚姻費用を増額させるための嫌がらせとして、報酬を減額している」という内容の決定書を書かれてしまい、それが高裁でも維持されてしまったことがあります。経営をされている人たちが、審判書・決定書を読ん、「偉そうにしているわりには、裁判官はビジネス、決算書のことは全然分かっていない」と裁判所への不信感を抱いていました

あと、「無効」の判断に向けて争っていた遺言の事案で、無効と考えられる事情については一切触れられないまま、有効の判断に向けて都合のいいところだけ切り取った判決を出されたことがあります。

実際に有効、無効のどちらに転んでもおかしくない難しい事案ではありましたが、そのような説得力のない判決書を見ると、依頼者は、判決の結果が気に入らないだけでなく、「いい加減なことをやっているんだな。結局、最初に結論ありきで、都合いいところだけ拾って判決を書いているんだな」みたいな印象を持ってしまう。結論はどうあれ、こちらの有力な主張や証拠には、ちゃんと触れたうえで判決書を書いてくれないと、裁判所に対する信頼がなくなると感じることが、最近は少なくありません。

A氏:私も事実認定に問題がある裁判官に出会ったことはあります。家賃がいつから増額されたのかが争われた事案でした。こちらは家賃を請求する側だったのですが、証拠が、依頼者の付けていたメモしかなかったんです。それに基づいて主張していかざるを得ない状況で、負けて当然だと思っていました。ところが、一審(簡裁)の裁判官は、証拠の検討が不十分だったので、認めてくれたんですよね。

相手側が控訴し、地裁では合議になりま。地裁の裁判官に「借主側が合意したことの証明ができていないでしょ」ともっともな指摘をされ、結局負けるべくして負けました。ただ、依頼者は「地裁の裁判官けしからん」と立腹し、こちらに八つ当たりしてきました。

B氏:離婚事件で、完全に妻側の肩を持った事実認定をする裁判官は、多く見てきました。特にムカッとしたのは、メインは不貞行為、サブとして長年にわたる暴力を妻側が主張する離婚事件で、夫側についたときのことです。

こちらは、不貞行為も暴力もすべて否定し、調停中も妻側から不貞に関する証拠は出てきませんでした。裁判になりましたが、妻側が出した不貞の証拠は、夫が女性とその子ども(10代後半)と一緒に、遠方のホテルでランチをしている写真のみ。暴力についても、妻が「5年ほど前に殴られた」と言っている以外、証拠は何もありませんでした。こちらは「遠方までランチに出かけただけで『不貞した』というのはおかしくないですか」と主張しましたが、男性裁判官は「不貞したに違いない。不貞する奴だから、殴ったのも違いない」と言い、高額な慰謝料を認めました。夫は激怒し、当然控訴しましたよ。

D氏:私は、判決をもらうよりも和解で終わらせていることが多いので、幸いにも事実認定がおかしい判決はほとんどありません。ただ、慰謝料の金額などは裁判官によって上下するように感じます。「500万円くらいはいくはず」と思っていたら約100万円の判決が出てしまったことがあります。控訴したら500万円認められましたが。やはり、裁判官は独立しているせいか、頭の中が皆さんそれぞれ違うんだなと思うことはあります。


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