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「キレる」「居眠りする」「有罪と決めつける」弁護士が語る!問題がある裁判官たちVol.2

「キレる」「居眠りする」「有罪と決めつける」弁護士が語る!問題がある裁判官たちVol.2

「問題がある裁判官」に出会ったことがある4人の弁護士。彼らが出会ってしまったのは、どのような裁判官なのか。 2021年9月号の雑誌に概要版を掲載した匿名座談会(座談会はオンラインにて、2021年7月28日に実施)の完全版を3回にわけて掲載。2回目は、有罪と決めつける裁判官、キレる裁判官、居眠り裁判官について、4人の弁護士の体験談などを紹介する。 ※写真はイメージ(Graphs / PIXTA)

「有罪」と決めつける裁判官たち…刑事裁判で感じた絶望

ーー刑事裁判で、問題がある裁判官に出会ったことはありますか?

A氏:不当な判決が出た場合、もっとも被害を受けるのは、被告人です。特に刑事事件でひどいと思ったのが、検察側が主張していない事実を証拠から拾って、不利な情状あるいは有罪を補強する事実などとして認定する裁判官です。

たとえば、タクシーの無賃乗車の事案で、そのような裁判官に当たったことがあります。被告人が(タクシーに乗っている)途中で「私、お金持っていないんで」と言ったということで、こちらは「(乗車していた)全区間のうち、被告人がお金を持っていないことを告白するまでの間の分だけが詐欺に当たり、以降は詐欺が成立しない(未遂)」と主張したんです。

ところが、裁判官は「タクシーの運転手は乗車時点から最後までお金を払ってもらえると思っていた(欺罔と役務提供との因果関係)」と認定しました。証拠として出てきたドライブレコーダーの(映像の)最後で、タクシーの運転手が「たまったもんやない」などと言ったことを捉えたんですよね。

無賃乗車の額は2000円くらいでしたが、被告人は執行猶予中だったので、有罪になればほぼ実刑です。

おそらく、刑事裁判官は、控訴されなかったり、控訴審でひっくり返されたりしなければ、良い評価がもらえると思います。そのため、検察側の主張する通りに判決を出しておけば、控訴されてもひっくり返されないと考えているところがあるようにみえます。また、有罪を導くために、検察官がまったく気づいていない事実まで認定している印象があります。

以降、私は「刑事裁判官はまったく信用できない。刑事裁判での一番の敵は裁判官」と思うようになりましたね。

C氏:木谷明弁護士の著書などにも、A氏が指摘するような刑事裁判官が多くなっているという記載がありますよね。木谷弁護士は、優柔不断で検察の言うとおりに有罪を出してしまう裁判官が6割で、「疑わしきは被告人の利益」の原則に忠実に判断する裁判官は1割いるか否か、残りは、捜査官はウソをつかない、被告人はウソをつくという考えに凝り固まっている裁判官と指摘しています。さらに、私としては、本当に事実に向き合おうとしている裁判官の割合は減っているように感じることがあります。私は刑事裁判に失望したので、まったく扱わなくなりました。

D氏:コロナ前のことですが、「なんでも有罪」にすることで有名な裁判官に出会ったことがあります。脅迫の事件で、被告人は脅迫の前科がある人でした。「(脅迫にあたるようなことは)言っていない」との主張で、1回目の期日で否認しました。

数日後、法曹三者が集まる新年会があり、その「なんでも有罪」裁判官がいました。裁判官は事件の話を出してきて、私にボソッと「あれ、前科だけで有罪にできるよね」と。相当自信がある様子で言ってきたんです。まだ1回しかやっていないし、証人尋問もしていないのに…

「そこでキレる?」沸点が読めず、コミュニケーションが取りにくい裁判官

ーー上から目線だったり、高圧的だったり、接遇に問題がある裁判官や、感情的な裁判官に出会ったことはありますか?

B氏:あります。ある調停で、あまりにも調停員がメチャクチャなことを言い出して、調停員と大げんかしたことがあります。そうしたら、待ち時間に私だけが裁判官室に呼ばれました。「なんですか」と聞くと、私よりも修習期の若い裁判官が、犬に対するような仕草で私に座るように促しました。さすがに、あの態度は思い出すだけでも腹が立ってきます。

あとは、突然キレる裁判官にも出会いました。その裁判官は、交通事故での損害の計算にあたり、期日当日にいきなり「この費目の資料が足りません」という話をしてきました。事前に資料は提出していたので、おそらく期日当日の朝に、記録を読んで気づいたんだと思います。

裁判官に「この費目の資料は、どこにあるんですか」と聞かれたので、ない旨を回答したところ、突然怒鳴り始めたんです。私も「前日までに聞いてくれれば、依頼者に確認することができましたが、今日いきなりこの席で言われても…」と返しましたが、裁判官はずっと怒っていました。

「これは怒らないとダメ」という場面でまったく怒らない裁判官がいる一方、「ここでそんなに怒ることはない」という場面で怒る裁判官がいるんですよね。こちらとしては、突然キレられても引いてしまうだけなのですが…。

C氏:私もキレる裁判官に出会ったことがあります。20代の方と高校生が交際し、男女関係があったとして、高校生の親が訴えてきた事案でした。お互いに真剣な交際だったのですが、その裁判官にも娘がいるようで「自身の娘がそういう風になったらどう思うんだ!」と突然ひとりで怒り出したんです。その場にいた当事者はしらけてしまい、なぜあの裁判官はひとりで怒っているのだろう?という話になりました。

正直、B氏と同じように、突然キレられても、弁護士としては何が起こったか分かりませんし、冷ややかにみてしまいます。少なくとも当事者がいる前で、突然怒り出すのは何様なんだろうと感じます。

D氏:私は、電話会議で裁判官にキレられたことがあります。期日前から、書記官から何度も「準備書面いつ出ますか」という電話がかかってきていた事件で、裁判官が書記官に対してパワハラしているのではないかと疑うほど、何度も電話がありました。

電話会議当日、裁判官に「書面に書いてあることは、債務不履行と不法行為のどちらなのか」と聞かれたので、私は「うーんと」と言っただけでしたが、裁判官が突然キレたんです。こちらは原告側だったのですが、「原告側が主張立証責任を果たさなきゃいけないのに、どっちの法律構成か迷うとは何事だ」と電話越しに叫び始めました。まともにコミュニケーションが取れる相手ではなかったです。

人間だから仕方ない?「眠れる法廷の裁判官」

ーーこれまで、裁判官の居眠りを見たことはありますか?

A氏:私の場合、合議体での裁判がそんなに多くないので、居眠りしている裁判官を見たことはないんですよね。ただ、修習しているときに、書記官の方に「裁判によっては眠くなる。そういう時は足を床から上げて腹筋を締めれば、眠気が覚める」という話を聞いたことがあります。お金をもらって仕事をしている以上は居眠りはダメだと思いますが、裁判所にとって「意味がない」と感じるような尋問をされると、やはり眠気が生じるのもある程度は仕方ないのかなと思うことはあります。

B氏:私も司法修習生のとき、お世話になった裁判官から「私も人間なので、眠くなります」という話を聞きました。その裁判官は、漁師が眠気覚ましの時に持つミントのようなものを持っていると話していました。

人が眠くなるメカニズムは明らかで、お昼に炭水化物を多く食べると、血糖値が急に上がった後、急に下がります。血糖値が下がったときにすごく眠くなるわけです。船を漕いでいる裁判官に出会うのは、大体お昼ご飯後の尋問のときです。「裁判官はうどんでも食べたのかな」と考えることはありますが、眠くなるのは仕方ないことで「けしからん」と思ったことは一度もありません。

というのは、尋問で本当に怖いのは、相手方の反対尋問ではなく、裁判官の補充尋問だと思うからです。補充尋問でこちらの言い分が崩されてしまうことがあるので、むしろ尋問では関心なく寝てもらった方がありがたいと思っています。

C氏:私は、さすがに大胆に船を漕いでいる裁判官を見たことはないのですが、民事・刑事ともに腕を組んで目をつむっている裁判官は見たことがあります。第三者から寝ているのか判断しづらいのですが、「間違いなく寝ている」と思われる裁判官もいました。民事裁判での居眠りであればまだいいのですが、刑事裁判は被告人の一生に関わることであり、実刑になるかを決める場です。さすがに、刑事裁判での居眠りは被告人がかわいそうですし、「裁判官は、なんとも思わないのか」と疑問に思いました。

D氏:私は民事の尋問の際に、口を開けて上を向いて寝ている裁判官を見ました。ただ、その裁判官は、争点と関係なさそうな質問をしている最中は寝ているようにみえるのですが、本当に争点になりそうな、尋問で明らかにしなければ分からない話になると、突然起きて、目をキラキラさせていました。今考えると、あれは「俺はこの部分全然関心ないんだぞ」という意思表示だったのかもしれません

【座談会に登場する弁護士】
※以下、本文中ではA〜D氏で表記

A弁護士(大阪弁護士会・57期)
主に刑事裁判で、被告人を最初から有罪と決めつけるなど、問題がある裁判官に何度も出会ってきた。刑事裁判での一番の敵は「裁判官」だと思っている。

B弁護士(大阪弁護士会・61期)
主に離婚に関する事件で、問題がある裁判官に出会ってきた。突然、裁判官にキレられたこともある。居眠り裁判官については、前向きに考えている。

C弁護士(東京弁護士会・57期)
かつては多様な問題がある裁判官に出会ってきたが、最近は会う回数が減ってきた。ただし、事実認定に問題がある裁判官に出会うことはあり、強い問題意識を抱いている。

D弁護士(60期代)
不幸にも、同じ問題がある裁判官に何度も当たってしまった経験を持つ。和解を強要したり、「なんでも有罪」にしたりする裁判官などに出会ったことがある。


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