• HOME
  • 事件数や裁判官の木槌に違和感 映画・ドラマあるある

事件数や裁判官の木槌に違和感 映画・ドラマあるある

事件数や裁判官の木槌に違和感 映画・ドラマあるある

弁護士ドットコムタイムズでは、2021年3月に会員弁護士を対象に「弁護士が選ぶ法曹界を描いたドラマ・漫画・映画ランキング」のアンケート(対象507人)を実施した。その中で、弁護士や法曹界の描かれ方について感じる、疑問や現実との乖離などの「あるある」について、自由記述方式で聞き307人から回答を得た。

目立った意見の1つとして「弁護士が1つの事件だけをやっているように見える」というものがあった。2桁の件数の事件を抱えている弁護士が多い中、1つの事件のみを担当しているように描かれるのは、弁護士から見ると違和感があるようだ。「1つの事件にかける時間と労力が大きすぎて、事務所として経営が成り立つのか心配」という声も聞かれた。

「条文の暗記を披露しがち」といった意見に代表される「条文を記憶している」ことへの違和感もあった。実際の個別の事件の事情は千差万別で、条文そのものよりも、過去の結論がどうなったかという裁判例を調べ、条文や裁判例に基づき、個別の事件でどう主張するかが弁護士としての力が問われる部分。条文を記憶していることと、実際の訴訟での力量が必ずしも直結しているとはいえない。

裁判についての意見で目立ったのは「裁判官の木槌」について。「静粛に」といいながら木槌を叩くシーンが頭に浮かぶかもしれないが、日本の裁判官は木槌を持っておらず、書類や書類をまとめたバインダーを抱えていることが多い。「裁判官が木槌を持っていること。国内で取材していれば見ないはずなのに…」「裁判官は「静粛に」なんて言わない」という意見も複数あった。

民事裁判での証人尋問(証人を呼んで、法廷で話を聞く手続き)について「尋問の時に弁護士が演説をはじめるのがおかしい」「証人がしゃべりすぎ」という指摘も多くあった。民事裁判は、口頭でのやりとりが原則という建前だが、現実には書面のやりとりに終始することが少なくない。また、民事訴訟における証人尋問は、一問一答形式で、簡潔な質問に対して簡潔に答えるのが通例となっている。

その他、以下のような声があった

【弁護士の行動】
・弁護士が何度も現地に足を運んだり、証拠を探したりして新事実を発見すること。現実的ではないことも多く描かれているが、依頼者にそういう役割を期待されて困ることがある。
・依頼者に断定的に見通し等を伝えることはないので、(そのようなシーンがあると)違和感がある。
・「リーガルハイ」をはじめとする作品で、受任した事件に全部勝つ弁護士が出てくるが、そういう弁護士が本当にいると信じている人が結構いたりする。
・裁判ばかりやっている。現実は示談が多い。
・弁護士がトラブルの現場に同席して相手を説得することはあまりないと思うが、そのように描かれることがあるので、自分の依頼者にも同席を求められて困る。
・守秘義務がありそうなことを外のレストランなどでペラペラ話している。
・主人公の対立相手となる弁護士が往々に悪役とされていることが多い。現実は、案件上やむを得ずやってる場合もある。

【刑事事件】
・被告、被告人の言葉遣いが間違っている(編集部注:通常、刑事事件で起訴された人は、法律上「被告人」。ただ一般的にマスコミなどでは「被告」としているものが多い)。
・公訴時効の意味を間違えている。自白した時点が公訴時効数分前という刑事ドラマがあったりする。数分前に自白しても起訴できない。
・冤罪事件がやたら多いが、実際はほとんどない。
・取調べの様子が、机をたたくなど、過去の時代のものとなっていることが多い。
・逮捕したらすべて解決するところ(編集部注:「逮捕」「起訴」を経て、裁判で「有罪」判決が確定して初めて犯罪を犯したと扱われる)
・法廷で弁護士と検事と裁判官が予定にない主張を即興で言い合う。相手の知らない証人を突然出廷させる等。

【民事事件】
・リーガルハイに代表されるように、法廷シーンが多すぎる。実際は書面のやりとりと閉鎖的空間での弁論準備期日ばかり。
・民事裁判に関し、現実では、主張書面及び書証が中心で、尋問は付随的なものに過ぎないにもかかわらず、ドラマでは、尋問をメインに描かれることが多いこと。
・ドラマでは、民事刑事問わず、尋問をきっかけに逆転が起きること。現実には、尋問の前で、裁判官の心証は概ね固まっていて、尋問をきっかけに逆転が起きることは少ないと思われる。

【法廷】
・法廷尋問のシーンが実態と乖離している。異議が多すぎたり、弁護士の質問が演説になっていて、一問一答形式になっていないことが多い。
・「異議あり!」と言う。あまり言うことはない。
・法廷での手続がおかしい。弁論でいきなり証拠提出していないものを持ち出すなど。
・証人尋問が全くのフィクション。ドラマだと議論に渡ったり疑問を直接ぶつけたりする尋問ばかりで現実と乖離している。
・法廷に大きな窓があったり、傍聴席が法廷を取り囲むように設置されていたりすること。

【そのほか】
・弁護士(弁護人)や検察官がやたら攻撃的に描かれていることには疑問を感じる。
・裁判官が一様にまじめで冷静な人ばかりな点。
・法律事務所にある書籍がふつう使わないであろう書籍が置いてある(予備校本など)。
・弁護士の業務にそこまでドラマは起きない。もっと地味。
・ルックスのレベルが高い人物が多い。
・(あるあるは)皆無。大人は、ウルトラマンの放送翌日に、ビルが直っている!なんて思わないもの。

  • 記事URLをコピーしました

弁護士向け

限定コンテンツのご案内

弁護士ドットコムでは、会員弁護士のみがアクセス可能なマイページサービスページをご用意しています。

本サイト内で公開されている記事以外にも、マイページ限定のコンテンツや、法曹関係者向けにセレクションした共同通信社の記事など、無料で登録・閲覧できる記事を日々更新しております。また、実務や法曹関係の話題、弁護士同士が匿名で情報交換できる無料の掲示板サービス「コミュニティ」も好評です。情報のキャッチアップや、息抜きなどにご活用ください。ご興味がございましたら、下記から是非ご登録ください。