「依頼者にとって少しでもよい結果を得るために」諦めないで最後まで依頼者にとって何が最善かを考える
不動産事件に注力
ーー弁護士を目指したきっかけや理由を教えてください。
率直なところ、これといった特別なきっかけや理由はないのです。京都大学法学部に進学したのですが、3年生になると、同級生の半分は就職活動、もう半分は司法試験の勉強を始めるんですね。私ははじめ、就職活動をしていたのですが、司法試験の勉強している友人たちを見て、次第に「自分も試験を受けてみようかな」と思うようになりました。
ーー学生時代に打ち込んでいたことはありますか。
中学生の時に吹奏楽部に入り、フルートを始めました。大学時代も一緒に音楽をやる仲間がいたので、演奏は続けていましたね。いまでも、こっそり家で吹いたりしています。
ーー現在注力されている分野と、その理由について教えてください。
最近は、不動産関係の案件を依頼されることが多いです。労働事件も、どうしても経営者の方々から相談されることがあり、結果的に注力しているような状況になっています。
ーー不動産案件は、どういった点にやりがいがあるのでしょうか。
一口に不動産案件といっても、内容は様々です。私は、商業施設に関わることが多いですが、その他、戸建て住宅、マンションについては一室、一棟のもの、駐車場・置場など、何でも扱っています。
ひと口には言えませんが、例えば、商業施設ですと、土地については、購入する場合もあるし、借りる場合もありますが、土地の持ち主と契約を交わすことになります。地主さんがたくさんいらっしゃる場合もあります。これが開発段階です。そして、商業施設の中にはテナントが入るので、賃貸借契約も結ぶ必要があります。施設が建った後も、地代や賃料の変更の問題、リニューアル、修繕の区分、契約更新、定期借家だと再契約なども課題が発生し、途中で売却されるときは流通に関わります。閉鎖の局面ではテナントの退去、原状回復、敷金の精算があったりなど、いろいろな法律問題が含まれています。
そういった、不動産に関する契約などの手続きに携わることや、様々なトラブルを解決していくことにやりがいを感じます。
先輩弁護士の言葉を胸に、常に丁寧な対応を
ーー仕事をするうえで心掛けていることは何ですか。
司法修習生のときに出会った弁護士から、「頭に自信があるやつは、頭を使え。体力に自信があるやつは、体力を使え。どちらも自信がないやつは、とにかく親切にしろ」と教えて頂いたことがあります。法廷で傍聴している時にたまたま出会った先生で、お名前も分からないのですが、この言葉を時々思い出して、依頼者にはできるだけ丁寧に接することを心がけています。私の説明をきちんと理解してくれているか、説明が一方的になっていないか気にしています。
もうひとつ心がけているのは、諦めないということです。訴訟の内外を問わず局面が悪い 場合、依頼者のテンションがどんどん下がって、「もういいよ、先生」と諦めてしまうことがあるんです。でも私は、負けるにしたって負け方はあると思うので、プラスにならないとしても、マイナスがいくらかでも少なくなるように、墜落ではなくて軟着陸できるように、いつも考えていますし、アイデアがあれば提案もします。
たとえ劣勢であっても、できる限り依頼者が納得する結果につなげたいと思っています。そのためにできることを尽くし、依頼者に「100パーセント満足いく結果ではないけれど、最善は尽くした」と思ってもらえるような仕事をしたいなといつも思っています。
ーー弁護士として活動してきたなかで、印象に残っているエピソードはありますか。
ひとつは、企業のプロジェクトで、法務部のメンバーとチームを組んで、定例でミーティングをしながら、進捗の管理と対処方法の企画、実施をすることがありますが、こういった活動では、法務部のメンバーというのはその会社の業種に属する事業に関しては精通されているので、刺激のある体験になります。
あとは、全然種類が違いますが、子どもの引き渡しの案件です。依頼者は子どもを連れて別居したのですが、監護者を指定する審判で負けてしまい、子どもと一緒に暮らせなくなってしまいました。子どもを取り戻したいということで取り組みましたが、子どもを取り戻すのに最初の別居から4年かかりました。厳しい局面が続きましたが、いつも、今できることは何か、次にできることは何かを考えていました。
仕事以外のこととしては、出張先での思い出ですね。今はほとんどないですが、以前は時々、出張に行く機会がありました。今どきですから宿泊を要する出張はあまりありませんが、帰りの電車や飛行機の時間まで、目的を持たずにその土地をうろうろするのがとても楽しかったです。印象に残っている場所でいうと、松山、那覇、高知、金沢、長崎、松江とかでしょうか。当時歩いた町や商店街の様子や食事などは、どこもよく覚えています。
ーープライベートについても伺います。休日はどのように過ごしていますか。
子どもが家にいる時は、どうぶつの森で遊んだり、家でフルートを吹いたりしています。楽器に静かに息を入れて音を出すと、指から振動が伝わってきます。その振動を確かめるように、楽器を吹いています。
ーー今後の展望をお聞かせください。
とにかく目の前の仕事に、一生懸命取り組んでいくしかないと思っています。今後、自分がどうしていきたいかというより、コロナ禍によって世の中がどうなっていくんだろうという関心のほうが強いです。そんななかで自分たち弁護士は、どうやって生き抜いていけばいいのかと、最近よく考えています。
事務所としては、創業して10年ほどになりますが、あまり人が入れ替わっていないんですね。ありがたいことではあるのですが、今後は若い世代の弁護士や事務員を入れていくことで、フレッシュな空気感をつくることも大切かなと感じています。
悩みがあれば、気負わず何でも相談を
ーー法律トラブルを抱えて悩んでいらっしゃる方に対して、メッセージをお願いします。
悩んでいるのであれば、すぐに弁護士に相談することをお勧めします。相談の結果、大したことがなければそれでよいし、大変な事態であれば、すぐに対処しなければなりません。
「弁護士に相談にいくのは敷居が高い」と言われますが、私はそれは仕方がないと思っています。個人の方はもちろん、事業をされている方でも、法務部に勤務していて平素弁護士と接点がある方でない限り、弁護士に会うことや法律事務所に行くことに慣れている方は多いわけではありませんから、敷居が高く感じるのは当たり前でしょう。でも、一度、法律事務所のドアを開けて実際に弁護士と話せば、もう敷居が高いとは感じなくなっていると思います。
また、「こんなこと弁護士の先生に相談してもいいのだろうか」と気にされる方もありますが、気にして頂く必要はありません。「そんなつまらないこと聞くのか」なんて思う弁護士は、あまりいないのではないかと思います。少なくとも私は思いませんので、大丈夫ですよ。依頼しているのに、率直に話をできないというのは、依頼者と弁護士の双方にとって望ましくないので、何でも尋ねて頂くのがお互いのためによいです。
相談しようか迷っているあいだに、事態がどんどん悪化してしまうかもしれません。とにかく一日も早く、気軽に、私たち弁護士に相談していただければと思います。